( 306335 ) 2025/07/10 05:27:52 0 00 ローソンの店舗駐車場での車中泊。2025年7月7日に発表公開されました。
今回は実証実験として、千葉の房総半島南部の6ヶ所で行われます。
7月14日からの実施ですが、ひと足早く予定地の現場を見に行ってみました。
なぜローソンで車中泊を展開? その背景は?(筆者撮影)
まずは、実施に至った背景です。
近年、食事の時間を気にしたくない、またペットと一緒に旅をしたいなど旅行のニーズが多様化。
特に、コロナ禍で「三密を避ける」といった感染対策で、クルマを移動する個室として使う意識が高まりました。
また、ライフスタイルについてもリモートワークなど、新しい考え方が一般化。
一方で、都内や有名観光地などでは、インバウンドの増加などもあり宿泊施設の料金が上がっており、節約志向での車中泊という考え方も少しづつ広がってきました。
また、キャンピングカーの保有台数は2024年、前年比1万台増の16万5000台になっていますが、車中泊の需要に対する供給が不足している状況です。
こうした社会動向を踏まえて、ローソンが「RVパーク」を使った実証実験を行うことを決めたということです。
今回訪れたのは、「ローソン一宮東浪見(いちのみや とらみ)店」(筆者撮影)
RVパークとは、キャンピングカーメーカー等でつくる業界団体・日本RV協会が認定する車中泊の施設。
2024年12月時点で全国500ヶ所を越えており、温泉施設、宿泊施設、道の駅、遊園地など様々な施設の一部を活用しています。
RVパークの認定を受けるためには、日本RV協会が定める、24時間利用が可能なトイレや、ごみ処理が可能などの条件を満たす必要があります。
筆者もRVパークを利用した経験があり、手軽さと利便性の高さを実感しています。
料金は1回1区間につき2500円〜3000円とあります。
通常利用のRVパークの場合、登録の際、申請料3万円と年間登録料1万円がかかるのですが、日本RV協会によれば、今回は実証実験のために申請料と年間登録料はそれぞれ無料です。
予約専用サイトで登録する必要がありますが、費用は使用料金だけ。支払いはクレジットカードのみです。
実施期間は、2025年7月14日から2026年6月30日までの約1年間。チェックインは午後6時から、チェックアウトは午前9時まで。
実施店舗側での対応する内容は、専用タブレットでの予約確認、対象車室専用の「置き看板」設置と撤去。
受付セット(利用許可証、注意事項記載用紙、ごみ袋1枚)の手渡し、電源ドラムの貸出し、そして生ゴミの処理(専用のごみ袋1袋のみ)となっています。
今回訪れたのは、「ローソン一宮東浪見(いちのみや とらみ)店」(千葉県長生郡一宮町東浪見562)。
東浪見と聞いて、ピンとくる人がいるかもしれません。人気のサーフスポットであり、また東京オリンピックのサーフィン競技会場としても知られたところです。
そのため、この周辺は週末はもとより平日でも1年を通してサーフィン客が少なくありません。
これからの時期は海水浴や水上バイクなどのアクティビティを目的に、関東圏から多くの人がきます。
そんな東浪見の海岸からは少しだけ内陸部に入った国道128号線沿いに「ローソン一宮東浪見店」はあります。
敷地はとても大きく、都内周辺のローソンと比べると3〜4倍というイメージです。それに伴い、駐車スポットは一般車向けが23マスと、大型トラック用が3マスもあります。
今回、車中泊に使われるのは、店舗に近い並びで一番遠いマスと、そのひとつ前のマス。
これら2マスを1区画として利用する形式です。
実際、そのマスに駐車して周囲の様子を確認してみると、国道128号線まで約20mあり、また敷地の後方は田園が広がっているので、窮屈な感じはまったくありません。
ローソン店舗まで10mほどなので夜でも「ポツンと…」という寂しさはなさそうです。
トイレも使えて安心ですし、また店舗の外壁に沿って電源もありますので、店舗で貸し出される電源ドラムをつないで自車まで引っ張れば電源はしっかり確保できます。
その反面、この周辺は深夜営業のスーパーがないので、夜や早朝にこちらのローソンを使う人が少なくないでしょうから、クルマの出入りの音やしゃべり声などが、車中泊の車内で気になるかもしれません。
「ローソン一宮東浪見店」の裏には田んぼが広がっていた
今回訪れた店舗以外に、千葉県内で車中泊ができるローソンは、次の5ヶ所です。
ローソン御宿新町店(夷隅市御宿町新町仙人塚417-19)、ローソン天津小湊店(鴨川市内浦1909)、ローソン富浦インター店(南房総市富浦町福澤873)、ローソン南房総岩井海岸店(南房総市久枝35-1)、ローソン富津湊店(富津市湊1238-1)。
これらローソンも、都心や地方の住宅地域にあるローソンと比べると、敷地があるていど広く、周囲に民家が少ないなど車中泊に適した環境であると考えられます。
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ローソンで車中泊プランと聞いて、筆者としては利用のガイドラインがどうなるのかなど不安があったのですが、「RVパーク」というベースがあることで安心しました。
そうとはいえ、不特定多数の人が絶えず出入りするコンビニの駐車場での車中泊という環境では、車中泊する側も、また車中泊していることを認識したコンビニのお客さん側も、それぞれが一般社会におけるルールをしっかり守ることが大事です。
ローソンの思い切ったトライ。まずは実証実験を通じて多くを学び、それに伴う多様なデータの集積が始まります。
桃田健史
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