( 306740 )  2025/07/12 03:22:06  
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応援金を贈った林宏優市長(後列中央)と宮川さん家族=山県市役所で、同市提供 

 

 岐阜県山県市は、第3子以降の新生児に「赤ちゃんほほえみ応援金」を支給している。子どもの数に比例して支給額が増える仕組みで第7子以上は310万円。誕生祝い金として突出する額となっている。 

 

 2003年に高富町、美山町、伊自良村の3町村が合併して誕生した山県市。人口約40万人の岐阜市に隣接しているものの、岐阜市や愛知県への流出が止まらず、人口は合併当初の約3万2000人から約2万4500人に減った。 

 

 昨年、民間団体「人口戦略会議」が発表した報告書で、山県市は初めて消滅可能性自治体に「転落」。50年の人口は20年比で45%減の1万3877人と推計された。 

 

 人口流出を食い止めようと、市は手厚い子育て支援に注力。23年度から、第3子で10万円、第4子で30万円、第5子で70万円を支給する応援金制度を始めた。これまで45人に支給し、8割近くは第3子が占めているものの、昨年度は第6子が2人生まれ、それぞれに150万円が贈られた。 

 

 今年度は初めて第7子が誕生。ハウスクリーニング業の宮川慎治さん(54)、志乃さん(39)の三女への贈呈式が6月23日、市役所であった。子どもたちが会場の応接室を走り回る中で行われ、林宏優市長は「みんな元気で大変喜ばしい。子どもたちが素直で楽しく過ごしているのがわかる」と笑った。 

 

 宮川さん夫妻は、高校2年の長男を筆頭に4男3女を育てる。6人目が生まれた1カ月後に制度がスタートしたため、応援金を受け取るのは初めて。慎治さんは「上の2人が受験を控え、スポーツや習いごとにもお金がかかるので本当にありがたい」と感謝し、「個性を大事にし、のびのびと育てたい」と話した。 

 

 市は3歳未満の保育料や小中学校の給食費を無償化するなど、若い世帯の定住促進に力を入れている。子育て支援課の担当者によると「少しずつだが、就学前の子どもがいる世帯の転入が増えている」という。 

 

 林市長は「子どもが少ないからこそ大胆に子育て支援に取り組める。今後も子どもを産むなら山県市となるような施策を実施したい」と話す。【稲垣洋介】 

 

 

 
 

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