( 306868 ) 2025/07/12 05:54:23 1 00 2025年度の最低賃金改定に向けた議論が始まり、物価高の影響で賃金動向が労働者にとって重要な関心事となっている。 |
( 306870 ) 2025/07/12 05:54:23 0 00 最低賃金の2025年度改定を巡る議論が11日、始まった。物価高が収まらない中、多くの労働者にとって賃金動向は例年以上に重大な関心事となっている。一方、経営体力の乏しい中小企業などは賃上げの原資の確保に頭を抱える。石破茂政権が掲げた「2020年代に時給1500円」を実現するには、価格転嫁と生産性向上を後押しする政策が不可欠だ。
■24年度改定は過去最高の1055円
24年度改定は全国平均で過去最高の1055円となり、前年度からの引き上げ幅も51円で過去最大だった。
25年度改定について、明治安田総合研究所の前田和孝エコノミストは57円増の1112円と、24年度を上回る水準での決着を予測する。
最低賃金は国の中央最低賃金審議会が改定額の目安を示し、都道府県単位の地方最低賃金審議会が企業の支払い能力などを考慮して改定する。前田氏は「他県との人材獲得競争や若者の流出に危機感を持つ自治体は多い」と指摘する。
賃上げは労働者の生活の質を引き上げると同時に、消費を活発化させ、地域経済を潤す効果が期待できる。企業にとっては、能力の高い人を雇えるようになる半面、人件費の増加がのしかかってくる。
重要なのは賃上げの流れを確実にしていくことだ。石破政権は「賃上げこそが成長戦略の要」と訴えており、前田氏の試算では、「20年代に1500円」を実現するには25年度を含め89円ずつ引き上げていく必要がある。
■企業経営者からは戸惑いの声も
企業経営者には「目標が高過ぎる」と戸惑いの声も少なくない。経団連の筒井義信会長は「中小企業の生産性向上と政府や自治体の支援策、さらに社会全体で価格転嫁を定着させていくという多方面からの努力が相まって、実現可能性に近づく」と注文をつける。
政府も傍観しているわけではない。高水準の引き上げを決めた都道府県を対象に、補助金や交付金を使って支援する方針だ。6月に閣議決定した政府の成長戦略「新しい資本主義実行計画」には、中小企業の生産性向上のため5年で60兆円程度の官民投資を行う方針を盛り込んだ。
それでも前田氏は「十分な価格転嫁と生産性向上ができないうちに雇用を減らして事業を続けようとする企業が出てきかねない」として、毎年89円の引き上げを実現するにはさらなる行政の支援が必要だとの認識を示す。(米沢文)
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