( 306885 )  2025/07/12 06:11:21  
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 自動車の整備業者が年々減っているという。整備士を志す若者が減少し、高齢化による整備士の引退が即廃業に繋がるのが影響しているようだ。地域に自動車整備工場がなくなると、カーライフはどうなるのか?国沢光宏氏と共に考える。 

 

※本稿は2025年6月のものです 

文:国沢光宏/写真:AdobeStock(トップ画像=xiaosan@AdobeStock) 

初出:『ベストカー』2025年7月10日号 

 

 帝国データバンクによれば、2024年度の自動車整備業者の倒産/休廃業解散は計445件に達し、過去最多を記録したという。練馬区にある私の近所だけで考えても2件ほど廃業している。 

 

 3年程前に日産自動車大学校から「整備士になろうという若い人が減っている」との相談を受け、さまざまな活動を始めているのだけれど、なるほど整備業界の将来は厳しいように思う。 

 

 参考までに書いておくと、上に挙げた445件のうち倒産は少ないと思う。最も大きい廃業理由といえば後継者不足である。 

 

 前述のとおり整備士になりたいという若手が減少した結果、高齢化してしまった。ディーラーの整備部門を除くと、60歳以上の整備士は普通。70歳を超えて働いている人も珍しくない。当然ながらひとりだと自動車整備は難しいため、高齢者の引退イコール廃業になる。 

 

 もうひとつ。板金関係は自動ブレーキの普及により急速にニーズが減少している。調査データにもよるけれど、追突事故は80%近く減っているようだ。 

 

 都市部だと板金に伴う騒音や臭気へのクレームも多く、仕事の減少とスタッフの高齢化により自然消滅している。今や板金修理に出そうとすれば2週間くらい待たされることも普通。カーコンビニクラブは大忙しである。 

 

 街の修理工場が減った結果、ディーラーに依頼することになるのだろう。定期点検すら予約が取りにくくなってきた。 

 

 2〜3年前から「明日時間が空いたから調子の悪い場所をディーラーで見てもらおう」などという状況じゃなくなっている。このままだと整備不良のまま走らなければならないことだって出てくるんじゃなかろうか。自動車の基本である「安全」に関わってきます。 

 

 驚くことに有効求人率は「5倍」を超えたまま。5業者のうち4業者が人手不足という驚く状況になっている。ということを国交省も真剣に考え始めているらしく、さまざまな動きを見せ始めた。 

 

 2024年のこと。日産自動車大学校は八丈島で整備実習を行ったのだが、そこに国交省の整備担当部署の係官も視察に来ていた。正規ディーラーのない地域だと、整備工場の廃業=整備不能になってしまう。 

 

 本来「整備や修理」ってカッコいいことだと思う。中学校や高校でパンク修理とかできたら人気モノになる(笑)。 

 

 確かに今まで整備士の給与体系は高くなかったし、イメージもよくなかったかもしれない。されど自動車整備は必ず必要だし、手に職を付けることで一生食べていける。遠からず正当な給与ももらえるようになるだろう。何より整備はAIに取って代われない。いい職業だと思います。 

 

 

 
 

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