( 307984 )  2025/07/16 07:09:12  
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20日の参議院選挙で連立与党が苦戦している中、日本国債は「トラスショック」のようなリスクに直面しているとの指摘がある。

超長期債利回りは上昇しており、投資家の警戒感が高まっている。

選挙では各党がポピュリズム的な政策を掲げており、その影響で債券市場が不安定になる可能性がある。

与党の敗北が感知されれば、海外投資家が債券を売るリスクも指摘されている。

全体的な財政拡張リスクが懸念され、長期的な財政健全性への不安が高まっている。

市場は与党敗北と首相退陣を見越して動く可能性がある。

(要約)

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Bloomberg 

 

(ブルームバーグ): 20日の参議院選挙で連立与党の苦戦が伝わり財政拡張への懸念が高まる中、日本国債は英国の「トラスショック」のような事態に直面するリスクがあるとの見方が出ている。 

 

償還期間が10年を超える超長期債利回りは今月に入り少なくとも20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇している。投資家の間で各国の財政状況に対する警戒感が強まり、債券売りが世界的に進んでいる流れの一環だ。日本では間近に迫った参院選について、国内メディアが自公の過半数維持は厳しい情勢だと報じている。 

 

参院選では各党が現金給付や消費税の引き下げ、教育への支援など、ポピュリズム色の強い政策を掲げている。こうした公約は、いわゆる債券自警団による激しい売りを招くリスクを高める。英国では約3年前に当時のトラス首相が打ち出した減税案への反発が債券市場に混乱を引き起こし、各国政府に警鐘を鳴らした。 

 

SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、問題はトラスショックのような債券自警団の反乱が起きる可能性を完全には否定できず、それをあらかじめ市場に完全に織り込ませることができないことだと、15日付のリポートで指摘した。 

 

モルガン・スタンレーMUFG証券も同様の懸念を示す。杉崎弘一ストラテジストは英文リポートで、連立与党が敗北すれば、海外投資家が消費減税のリスクから、超長期債の売りを加速させる恐れがあると指摘している。 

 

参院選を巡る懸念は、米関税の影響を和らげるための支出拡大や、米国が要求する防衛費増額に応じる可能性など、より広範な財政拡張リスクに拍車を掛けている。これらは長期的な財政健全性への不安を呼び起こし、超長期債の重しとなっている。 

 

債券市場では15日、20年債利回りが1999年以来の高水準に上昇し、30年債利回りは同年の入札開始以来の最高を更新した。長期金利の指標となる10年債利回りも2008年以来の高水準を付けた。 

 

 

首相就任からわずか2カ月足らずで辞任に追い込まれたトラス氏の一件は、債券市場がいかに政治に圧力をかけ得るかを象徴する事例となった。それだけに、参院選での与党敗北で市場の混乱がさらに広がる可能性を市場は警戒している。 

 

みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは、「トラスショックほどの急性的な動きは考えにくいが、全く対岸の火事とも言い切れない」と言う。 

 

最近のNHK世論調査によると、回答者の53%が石破内閣を「支持しない」と答えた。SMBC日興の奥村氏はリポートで、市場は「与党敗北+首相退陣をメインシナリオに据えて動いていくことになりそう」だとの見方を示した。 

 

(c)2025 Bloomberg L.P. 

 

Masaki Kondo 

 

 

 
 

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