( 308101 ) 2025/07/17 04:16:12 0 00 日テレNEWS NNN
今月20日に投開票が迫った参議院議員選挙。各党が掲げる公約をみると、「働き方」をめぐりスタンスが分かれている。
自民党・公明党は「『働きたい改革』を推進」「もう少し働ける社会へ」などとうたい、労働時間の上限緩和を公約に盛り込んだ。また、参政党も「もっと働きたいのに働けない『働き方改革』の見直し」を主張している。背景には、個人の希望に応じた柔軟な働き方への対応のほか、人手不足への対策がうかがえる。
一方で、立憲民主党、国民民主党、共産党は、例えば「勤務間インターバル(注:終業から次の始業まで休息時間を確保する制度)11時間以上の義務化」や「短時間正社員を選べる環境整備」、「長時間労働の是正」など働き方改革を推進する立場だ。
時間外労働の上限規定などを盛り込んだ「働き方改革関連法」が2019年に施行されてから6年。
働き方のコンサルティングなどを行う「株式会社ワーク・ライフバランス」社長の小室淑恵さんらは16日に会見を開き、いま「働き方改革」の揺り戻しが起きていることに懸念を示した。
小室代表は、「働きたい改革」の裏にあるのは、特に人手不足の業界の経営者目線での「もっと働かせたい」という都合の良い論理だと指摘。また、京都大学の柴田悠教授は、「残業を増やすのではなく、DX化や効率化によって生産性を高めていくことこそが、必要な経営戦略や人材確保策になる」と強調しました。
厚生労働省の調査によれば、会社を選ぶ際に「キャリアとプライベートの両立を意識する」と回答した若年層(18~25歳の男女)はおよそ8割だとして、「働きやすさ」を企業が重視することは、人材確保など経営的な視点でも重要だという。
会見には、医師だった息子が過労死した高島淳子さんも出席し、働き方改革の揺り戻しが起きていることについて、「もっと働きたいと契約した人間だけが、職場の上司からやる気がある人間と評価、優遇され、そうでない人間は冷遇される。やがてキャリアを人質にとられた暗黙の指示や、同調圧力による強制、パワハラの温床となるのは必至」だと訴えた。その上で、「働き方改革を停滞、逆行させることは、過労死した方々を冒涜する行為に等しい」と語った。
長時間労働というやり方に頼らず、人手不足を解消するにはどうしたらいいのか。小室代表は、「人手不足解決には、多様な労働力の参加促進」が必要だという。
小室代表は、いまの社会では一人の受け持つ仕事量が多く、勤務時間は長く、それができない高齢者や育児・介護中の人が労働市場から排除されてしまうリスクがあると指摘。
そして、それを防ぐために、まずは残業代にあたる「時間外割増率」を1.5倍にすることなどで、企業が安易に社員に残業をさせないような環境をつくり、長時間労働によって評価される職場でなくすることが、ひいては人口の多い高齢者や育児・介護中の労働者を確保することにつながると話す。
企業にとっても労働者にとってもWin-Winな解決策はなにか。働くことへの意識も人口構造も変わってきたいま、「働き方」の変化が求められている。
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