( 308196 )  2025/07/17 06:04:51  
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2027年度末での車両生産終了が発表された日産自動車追浜工場(15日、横須賀市で) 

 

 2027年度末に車両の生産を終了する――。経営再建中の日産自動車(横浜市西区)が、追浜工場(神奈川県横須賀市)についての結論を発表した15日、存続を望んだ地元には落胆の声が広がった。事実上の「閉鎖」で、子会社の日産車体の湘南工場(平塚市)でも日産車の生産終了が明らかになり、神奈川県内経済への影響は避けられそうにない。 

 

 日産のイバン・エスピノーサ社長が15日午後、追浜工場を訪れ、従業員数百人を前に直接、車両生産終了を伝えた。同工場関係者の40歳代男性は「厳粛に受け止めた。従業員のサポートを最大限するということなので見守りたい」と話した。 

 

 同工場は1961年の操業開始以来、横須賀経済の中心にあった。同社によると、約2400人の雇用を抱え、これまでノートなどの大衆車1780万台以上を世に送り出してきた。 

 

 影響は「城下町」全体に広がりそうだ。日産の下請け企業に部品を納入している岡田電機工業(横須賀市)の岡田英城社長(64)は、「これまでは苦しくても、人気車種が出れば注文増につながる期待があった。そんなチャンスさえもなくなる」。工場近くの弁当店の店長は、「歴史のある工場で、追浜にとって特別な存在だった。経営にも打撃で、ショックが大きすぎる」とうなだれた。 

 

 横須賀市の上地克明市長は「日産には工場跡地をどう活用するかも含め、速やかに公表していただきたい」とし、「影響が最小限となるよう、支援や対応に全力を尽くす」とコメントした。横須賀商工会議所の平松広司会頭は「従業員が解雇された場合は対策が必要。具体的な動きがあれば、商議所で会員らに説明会を開きたい」と語った。 

 

日産の発表を受け、横浜市は対策本部会議を開催した(15日、横浜市役所で) 

 

 日産が本社を構える横浜市は15日夕、対策本部を設置し、会議を開催。市内中小企業を対象に、経営や資金繰りに関する相談を受け付ける日産特化の「特別経営相談窓口」を16日にも設置する方針を決めた。 

 

 同市によると、市内に日産と取引のある会社は800社程度ある。みなとみらい地区(横浜市西区)にある同本社ビルの売却案も浮上しており、影響の広がりが懸念される。山中竹春市長は追浜工場での生産終了を受け、「裾野が広い自動車産業で非常に遺憾」との認識を示し、「関連企業や従業員らに寄り添い、一丸となって支援していく」と強調した。 

 

 

 日産車体も15日、湘南工場での日産車の生産を2026年度末で終了すると発表した。同社は「従業員の雇用を最優先に、あらゆる可能性を検討する」としており、平塚市の落合克宏市長は「今後の動向を注視し、必要な協議を進めたい」とのコメントを出した。 

 

 5月に2工場の閉鎖報道が出て以降、県内経済界は日産の判断に注目してきたが、結論はどちらも「生産終了」だった。浜銀総合研究所(横浜市西区)の白須光樹副主任研究員は、「関連企業や雇用、周辺の消費に与える影響は避けられない。行政の支援が必要だ」と指摘した。 

 

 

 
 

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