( 308221 )  2025/07/17 06:35:42  
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訪日客でにぎわう清水寺=京都市東山区 

 

「7月に日本で大地震が起きる」などとする風評の影響が続いている。日本政府観光局の16日の発表では、6月の香港からの訪日客数は前年同月比33・4%減の16万6800人となった。「発生日」とされた7月5日は過ぎたものの、香港と日本の地方空港を結ぶ航空便の減便が続く。観光産業の風評に対する脆弱性が露呈した形で、対策が求められている。 

 

■LCCは定期便運休 

 

香港の格安航空会社(LCC)グレーターベイ航空は今月2日、香港と徳島空港、米子空港(鳥取県)をそれぞれ結ぶ国際定期便を、9月1日から当面の間運休すると明らかにした。風評で客足が減少し、路線維持が難しくなったためだ。徳島便は昨年11月に週3便で就航。風評被害を受けて5月に2便に減らしたばかりだった。 

 

「7月5日」を過ぎ、香港の一部で旅行会社への訪日旅行の問い合わせが増加した例も報告されているが、徳島県観光誘客課の担当者は「(14日時点で)何か大きな変化があったとは聞いていない」と明かす。また、「すぐに客足が回復するものではない」と懸念する。学生の教育旅行などは計画が長期間に及び、いったんキャンセルされれば再び誘致するのは簡単ではないためだ。 

 

■気象庁の見解を紹介 

 

徳島県では、香港向けの県のSNSアカウントを通じ、風評に科学的根拠がないとする気象庁の見解などを紹介して客足の回復を目指している。さらに、香港で開催中の書籍・文化の見本市「香港ブックフェア」(16~22日)に出展し、観光PRをしながら現地の感触をつかむ方針だ。 

 

 

 

観光庁は昨年11月、自然災害に強い観光産業のあり方を論じる国際会議「観光レジリエンスサミット」を仙台市で開催し、共同宣言をまとめた。宣言では災害発生時の迅速かつ正確な情報収集と発信、風評被害対策の実施をうたったが、あくまで災害が発生した場合の対策で、今回のようなケースは想定されていない。 

 

観光庁は当面「正確な情報発信」で対応する方針だ。村田茂樹長官は16日の会見で、風評被害に対し「これをやれば良いという解決方法があるわけではない。今回を教訓に、どういったことができるか考えてまいりたい」と述べた。(織田淳嗣) 

 

 

 
 

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