( 308356 )  2025/07/18 03:51:31  
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フードバンクに持ち込まれたじゃがいもなどの野菜 

 

(写真:47NEWS) 

 

参院選の街頭演説を聴く子連れの女性=3日午前、東京都内 

 

参院選の街頭演説に耳を傾ける子連れの女性=3日午後、東京・新宿 

 

「ひとり親家庭への支援を急いでほしい」と訴える公益財団法人「あすのば」の小河光治代表理事=1日、東京都港区 

 

 参院選では物価高対策が大きな争点になっている。与党が現金給付を、野党は消費税減税や廃止をそれぞれ訴える。ただ、どちらの方がより効果的なのか、はっきりしない。 

 

生活苦と向き合うひとり親の心境は複雑だ。ある家庭は、一定期間を過ぎれば1人2万円の給付より減税の方が恩恵が大きいと試算した。でも、減税の財源が曖昧なままでは、子どもの未来に「ツケ」を残すのではないか―。 

 

 給食のない夏休みになると、食費の負担は増す。各党が訴える支援策は実現までに一定の時間が必要だが、物価高の勢いは待ってくれない。支援団体は食品配布など、目の前の支援を急ぐ。(共同通信=川嶋大介、久納宏之) 

▽6万円の給付か、月2600円の負担減か―ある母子家庭の試算 

 

 沖縄県に住む派遣社員の女性(30)は夜間の飲食店アルバイトも掛け持ちして稼ぐ月約20万円で長男(4)との生活をやりくりする。元夫から養育費の振り込みはない。 

 

 与党の給付案が実現すれば自身は2万円、長男は4万円の計6万円が受け取れる。一方、月約3万5千円の食費を対象に立憲民主党などが掲げる「食料品の消費税0%」を当てはめると、税負担分が毎月約2600円減る試算だ。単純計算で、2年で6万円を超えることになる。消費税が完全に廃止されれば、恩恵はさらに大きくなる。 

 

 野党は「財源がはっきりしないばらまきだ」(立民の野田佳彦代表)などと給付案を強く批判する。女性も国家財政への影響を気にかけつつ「それを何とかするのも国の役目。そこまで考える余裕はない」と吐露する。 

 

 与党案では困窮世帯などは給付額が加算される。東京都内で2人の娘を育てる女性(49)は半身不随の障害の影響で働けないためこのケースに当てはまり、計12万円を受け取れる見通しだ。だが高止まりが続くコメに代わり、最近は1キロ数百円のオートミールが主食で「物価高の勢いがすさまじく、到底安心できない」と話す。 

 

▽子どものためにひねり出す「月謝1万円」、新人議員に配った「商品券10万円」 

 

 石破茂首相は「医療、介護、年金の財源はきちんと確保しなければならない」と、野党の減税案をけん制する。実際、減税期間が長期化した場合、社会保障の財源をどう維持していくのか、野党各党のビジョンは決して明確ではない。 

 

 

 都内の女性会社員(35)は、1人で育てる小学1年の長男(7)が大人になるころの社会保障費を心配し、減税には反対の立場だ。 

 

 3月、首相が新人議員15人に1人当たり10万円分の商品券を配っていたと報じられた。「長男の将来のため」と水泳やそろばん教室の月謝計約1万円をひねり出すのにも苦労しているのとは対照的な大盤振る舞いだ。参院選に挑む各候補に向け、女性はこう注文を付けた。「未来にツケを回したくない。与野党とも長期的な目線で考えて」 

▽コメには手が出ない。配布に頼るひとり親の悲鳴 

 

 物価高に苦しむひとり親家庭を支援しようと、認定NPO法人「キッズドア」(東京)はコメやレトルト食品などを3千世帯に届けることを目標に、クラウドファンディングで寄付を募っている。7月末に締め切り、8月にも実施したい考えだ。ひとり親からは「高騰するコメに手が出ず、配布に頼るしかない」との声が上がる。 

 

 一般社団法人「ひとり親支援協会」(東京)が運営するサークル「エスクル」は、各地のフードバンクの情報を会員に発信する。「夏休みは子どもの昼食を用意するのが大変。最寄りのフードバンクが見つかって助かった」。安堵するひとり親は多い。 

 

▽支援策、いつ実現できる? 

 

 自民党総裁の石破茂首相は公約の2万円給付を実施する時期を「年内」と説明。立憲民主党は「食料品の消費税0%」のスタートを来年4月としており、給付も減税も選挙後すぐに国民に恩恵をもたらすものではない。 

 

 子どもの貧困問題の解決に向けて政策提言する公益財団法人「あすのば」(東京)の小河光治(おがわ・こうじ)代表理事は「物価高で命の危機に直面する子もいる。困っている家庭に現金や現物を支給するなど、支援を急いでほしい」と訴えている。 

 

 

 
 

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