( 308931 ) 2025/07/20 03:37:51 0 00 神谷宗幣代表
参政党は参院選の台風の目だ。神谷宗幣代表(47)は街頭演説で次期総選挙後には「与党入り」と語るなど、乗りに乗っている。だが、内部はゴタゴタ続き。実は、言論封殺とも言われかねない異例の裁判が進行中である。
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TBSは7月12日、「報道特集」で参政党について、「“外国人が優遇されている”などと訴え、犯罪や生活保護について強硬な主張を繰り返す」と放送した。これに対して翌日、参政党が「選挙報道として著しく公平性・中立性を欠く」と抗議。さらには放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会へ申し立てを行う事態に発展している。
専門家からは「報道機関への圧力だ」と指摘する声も上がるが、参政党の“言論封殺”は今に始まった話ではないようだ。
「参政党からの訴状が届いたのは、昨年3月末のことです」
そう語るのは桜井由梨さん(仮名)。20代の参政党元秘書である。彼女は2022年9月に参政党の職員として採用され、翌年2月から神谷代表の秘書を兼任。9カ月後、退職に至った経歴を持つ。
桜井さんが言う。
「神谷代表は元中部大学特任教授の武田邦彦さんら当時の幹部と対立し、結局、みんな追い出してしまった。そうした出来事が重なって不信感が募り、党を離れることにしたのです」
そして、桜井さんが参政党を退職した翌月の23年12月、衝撃的なニュースが飛び込んでくる。彼女が慕っていた、50代の元女性秘書Aさんが突如、自殺してしまったのだ。
参政党関係者が明かす。
「Aさんは神谷代表に秘書として仕えた後、党務に従事していましたが、23年9月に退職。その3カ月後に自ら命を絶ちました。自殺のウラには、神谷代表の“パワハラ的言動”があったとささやかれています」
再び、桜井さんが言う。
「私は参政党内にAさんと同じ思いをされている方がいるならば、彼女と一緒の道はたどってほしくないという気持ちで、ある動画に出演したのです」
それが、YouTubeチャンネル「巫女ねこちゃんねる」の動画だった。
「動画の中でも一部お話ししていたのですが、Aさんは党のタウンミーティングを統括していて、集客状況が悪いと神谷代表から“どうしてなんだ”などと詰められていました。全体会議で発言する際も声が震えていて、神谷代表にすっかり萎縮している様子でした」
無論、参政党からすれば元秘書の自殺の背景を語る桜井さんは目障りな存在にほかならない。だからこそ、約1年しか党に在籍していなかった彼女を訴えたのだろう。
参政党は訴訟の中で、「巫女ねこちゃんねる」の複数の動画内で公開された党の定例会議の会話録音などは、彼女が流出させたものだと一方的に断定。彼女に対して録音データ等の返却を要求するほか、秘密保持に関する誓約に違反したとして、債務不履行による300万円の損害賠償金の支払いも求めているのだが、
「私はそもそも、そんな録音は持っていませんし、誰かに渡してもいません。会議には何人も出席していたのに、なぜ私だけがデータ流出の犯人に仕立てあげられたのか疑問です。私に対して、口封じの意図があるのではないでしょうか」
関係者が補足する。
「参政党側は桜井さんが音声データを流出させたことを証明する直接的な証拠は持ち合わせていません。公開された録音データが、彼女の議事録担当だった期間に録音された点、さらに、彼女が『巫女ねこちゃんねる』に出演した点を主に問題視しているわけです。しかしなぜ、それだけで彼女がデータ流出の犯人だと決めつけることができるのでしょうか」
続けて言うには、
「参政党は業務に必要なPC機器などの貸与をしておらず、私物を使わせていました。加えて彼女の退職の際、情報を持ち出していないかどうかのチェックもなされてはいませんでした。スタッフ側からすれば、参政党側が情報管理を怠った結果、データを漏えいさせたのではないかと嫌疑をかけられている。理不尽な状況ですよ」
「巫女ねこちゃんねる」を運営する、元参政党員の藤村あきこ氏(52)にも話を聞いた。
「音声データはAさんが参政党関係者を通じて、私に提供くださったものです。桜井さんからもらったわけではありません」
俗に言うスラップ訴訟の定義は、「勝訴の見込みがないにもかかわらず、相手を精神的に追い詰めたり、言論を萎縮させたりする目的で行う訴訟」だ。今回、参政党が彼女を訴えた手法はまさにこのスラップ訴訟に当てはまる可能性があるという。
もっとも、神谷代表及び参政党が抱える問題はほかにもある。
前出の参政党関係者は神谷代表の女性との接し方について、かねがね首をひねる部分があったという。
「神谷代表は周囲のスタッフを奇麗どころで固めてきました。で、彼は妻帯者であるにもかかわらず、そうした女性らに対して、プライベートでも会わないかと平気で誘いをかけるのです」
この点、ある元女性スタッフもこう証言する。
「私が神谷代表の身の回りの世話をしていた際の話ですが、コーヒーを持って行く時などに“肩をもんでよ”と言われて、二人きりの機会にマッサージをするようになりました。また、ある時には“映画に行こう”と誘われたこともあります」
彼女は神谷代表に「誰が見ているか分からないし、支持者が見たら誤解されるんじゃないですか」と注意したというが、
「神谷代表は“そういう時は、いつも帽子をかぶってマスクを着けているから大丈夫”と、まったく悪びれる様子はありませんでした。誘いを断りづらい雰囲気で一度は映画の予定を組んでしまったのですが、先輩の女性職員に相談したところ“絶対にやめた方がいい”とアドバイスされたので、なんとか家庭の事情を理由に断ったんです」(同)
参政党は一連の問題についてどう答えるか。Aさんの自殺に関しては、
〈神谷の言動が要因の一つであったかのように受け取れるご指摘は事実ではない〉
また、桜井さんに対する訴訟については、
〈今回のご質問は係争中の訴訟案件に関するものです。本党は粛々と民事訴訟において正当な主張立証を重ねてきております〉
と回答した。あらためて、桜井さんが言う。
「参政党からの訴訟は本当にいわれのないものです。彼らは証拠もなしに勝手にストーリーを作ってレッテル貼りをする。こんな党が参院選で議席を伸ばしそうな状況が恐くて……」
「週刊新潮」2025年7月24日号 掲載
新潮社
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