( 309014 ) 2025/07/20 05:17:16 1 00 参議院選挙が迫る中、東京選挙区では32人が立候補しており、特に注目される女性候補たちが街頭演説を行っている。 |
( 309016 ) 2025/07/20 05:17:16 0 00 左から、さや氏(参政党)、牛田茉友氏(国民民主党)、山尾志桜里氏(無所属)
いよいよ明日投開票を迎える参議院選挙。東京選挙区では、7議席を巡って32人が立候補する大激戦が繰り広げられている。平日最後の訴えとなる7月18日、注目される女性候補たちの街頭演説を見てきた。
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午前10時前、JR高田馬場駅前。国民民主党の牛田茉友氏(40)は、白のTシャツに黒のパンツ姿で現れた。さすがは元NHKの女子アナ、立っているだけでも道ゆく人たちの目を引いている。ただ2週間以上続く選挙戦に疲れ気味なのか、動きに覇気が感じられなかった。始めたビラ配りも腰が引けた感じで、スタッフに促されて頭を下げに行く様子も見受けられた。
「私はみなさんと一緒に手取りを増やす夏を実現していきたい。取りすぎている税収をお戻しして、社会保険料を低減して、働いていらっしゃる皆さんの手取りを少しでも増やしていきたい…」
演説を聴いていて気になるのは、ニュース原稿を読むような棒読み感である。手を振り上げたりして聴衆に呼びかけるようなフレーズは出てこず、約10分間の演説中になぜか急に黙ってしまう場面も2度もあった。
ただ訥々と語る子供の頃に受けたいじめを乗り越えた体験談などからは、真面目な人柄が伝わってくる。演説が終わると、あっという間に男性たちに取り囲まれ写真撮影会が始まった。
本人に声をかけると「手応えはあります。特に女性からの支持の高まりを感じています」。序盤で、送迎車が怪しい車に追尾されるなど身の危険を感じる事案があった件について尋ねると、「今は警備が強化されているので大丈夫です」と笑顔で語った。
選挙前は擁立した2人ともに当選すると言われていた国民民主は今は失速気味。牛田氏のみが踏ん張っている状況だが、抜群の知名度で逃げ切れるか。
正午前、銀座・数寄屋橋交差点。集まった聴衆20〜30人は男女問わず、50代以上の年配者が多い。各社が「トップを走る」と報じている参政党のさや氏(43)目当ての人たちである。さや氏の街頭演説にはカウンター目当ての人たちが押し寄せると聞いていたが、この日来ていたのは一人の中年男性だけだった。
男性は、〈みんなファースト NO HATE〉と書かれたプラカードを持って選挙カーの前に一人で立ちふさがる。
すかさず、聴衆から「邪魔だ」「お前、仕事どうした? 働けよ、ヒマ人」とヤジが一斉に浴びせられるが、男性は一歩も引こうとしなかった。
だが、大きな混乱は起きなかった。〈妨害行為には冷静なご対応をお願いします〉と書かれたプラカードを持ったスタッフたちも慣れているようで、何度か注意はしたものの最後は放置していた。
さや氏本人が登場すると大喝采である。
「数寄屋橋前の皆さん、こんにちわー」 「こんにちわー」
過去に出演したYouTube番組で「核武装が最も安上がり」と発言していたことが掘り起こされ、猛批判を浴びている最中であることなど、本人も支持者もどこ吹く風といった様子だ。
「私は情けないと思うの。子供がご飯も食べれてないの! 古古古古米を食べさせられているんですよ、日本の子供は今。そういう状況下で右も左もないと思っている。それどころじゃないんだから今」
「あちらで可愛らしい赤ちゃんが聞いてくれているけれども、子供たちが産まれてくるその土壌すらも今日本は失いつつあります。その時にね、差別だのとか、差別じゃないとか、そんなことを議論している場合じゃないんですよ! 日本人ファーストですよ! 日本人を救わなかったらこの国自体が終わっちゃうんだから!」
こう絶叫するたび、「そうだ、そうだ」と聴衆は大盛り上がり。演説終了後、声をかけるチャンスを窺っていたが、スタッフに囲まれながらすぐに次の現場へと行ってしまった。
「陣営はカウンター対策に神経を尖らせており、聴衆との接触も止めている。マスコミも近づけない状況です」(政治部記者)。
午後4時半、浅草・雷門前では日焼けした女性が汗を拭いながら、ガラガラの声で絶叫していた。
「私はやっぱり政党のロボットになりきれなくて、無所属で出馬となりました!」
「どうか皆さんあと2日間、泣いても笑ってもあと2日。個人戦はここからが勝負です!」
国民民主党から公認を取り消され、無所属での出馬に踏み切った山尾志桜里氏(50)である。
各社の情勢調査では軒並み「当選圏外」扱いだが、30人ほどの聴衆が集まっており、演説中も足を止める人は増えていく。「いいぞー」「頑張れー」。つい先日までSNS上で起きていたバッシングが嘘のように、街頭では大人気なのだ。
「応援団としては漫画家の小林よしのり氏が有名ですが、最近は民主党時代に同期当選した仲間たちが応援に駆けつけたり、映画監督の山田洋次監督が支援のメッセージを公表するなど陣営は盛り上がっています」(前出・政治部記者)
声をかけると山尾氏は立ち止まって取材に応じてくれた。
「やっぱり個人の気持ちを動かす選挙。投票箱が開くまでわからないと感じています。中でも女性の涙と声援が胸に迫ります。自分の票を自分で決める人たちの思いの集結なので。ただただ筋を通して真心で訴えていきたいと思います」
不屈の姿勢ですね、と向けると「そうですか」と笑った。
「でも、確かに屈しないという気持ちはあります。公認の取り消しがあろうとなかろうが、国にとって先送りできない課題があるのに選挙の度に無視されていく状況がある。奇しくも無所属になってそれを正面から問うことができるので、私は幸せな候補者だと思っています」
午後6時半、新橋のSL広場前は場所柄や時間帯も相まって、300〜400人が集まっていた。スポットライトが当てられた壇上に立つのは、立憲民主党候補として東京選挙区から出馬している塩村文夏氏(47)と全国比例候補の蓮舫氏(57)だ。蓮舫氏は余裕の表情だが、塩村氏は必死に叫び続けていた。
「私、塩村あやかは1期6年間の中で、闇とも言われる部分に切り込んできました。悪質ホストの問題とか、特殊詐欺とか、トクリュウとか、国会では誰も取り上げなかった問題をいち早く取り上げ、闇に切り込んでいったのは私でございます」
「皆さんホームページを見てください。明日も街頭演説やっているからぜひ来てください! 私が訴えている政策どれも地味なもので、SNSでバズるものじゃありません。しかし、この国に絶対に必要な政策を私は並べています。今回議席を失ってしまったら、実現することができません」
塩村氏の焦りを、前出の政治部記者が解説する。
「塩村氏は序盤の調査で数字が良かったのですが、中盤以降、勢いに翳りが出始めています。油断していれば7位に転落、もしくは落選してしまう危機感があるのでしょう」
今回の東京選挙区は7枠あるが、6位と7位では雲泥の差がある。7位は非改選の補欠選挙の当選枠で、任期が2028年までの3年間しかないのだ。現職がいる党だと候補者調整が必要になり、比例代表に押し出されてしまう可能性もある。
15日、塩村氏はSNSで感情をあらわにした。きっかけは立憲の小西洋之参院議員がSNS投稿。小西氏は〈どの調査報道も最後の第7枠は、立憲のおくむらまさよしと自民の二番手の争いになっている〉として、もう一人の立憲候補である奥村誠佳氏への「戦略的投票」を呼びかけた。それに対し、塩村氏は〈さすがにそれは失礼すぎる〉とキレ返したのだ。
〈本日午後のフジテレビの情勢調査は私が7番手、最新の朝日は5番手です〉〈小西さんがおすすめする方法ですと、私は落選してしまいますよね〉と投稿。露骨に不快感を示した。
だが焦っているのは塩村氏ばかりではない。
「余裕があるのは組織票を固めている、自民党の鈴木大地氏、公明党の川村雄大氏、共産党の吉良佳子氏、そして飛ぶ鳥を落とす勢いの参政党のさや氏くらいです。他の人たちは蓋を開けるまでどうなるか分かりません」(前出・記者)
明日、有権者はどのような審判を下すのか。
デイリー新潮編集部
新潮社
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