( 309021 ) 2025/07/20 05:23:27 0 00 静岡県伊東市の田久保眞紀市長
東洋大学除籍であるにもかかわらず「卒業」と偽った、いわゆる学歴詐称問題が大炎上している静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)。ところが、当の彼女に話を聞くと、意外な“見立て”を口にするのだ。
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「私が議長や市の職員に見せた“卒業証書”はいまでも本物だと思っています。ただ、なにぶん30年以上前の話なので、記憶が定かでない部分があるのも事実です。正直にいえば、今回の件がここまで大事になった経緯については不可解に思っている点があり、納得はいっていません」
力強い口調でこう話すのは田久保氏その人である。
彼女の学歴問題を調査する百条委員会(市議会調査特別委員会)は7月11日に初会合を開き、「18日午後4時まで」に卒業証書を提出するよう市長に“最後通告”を行った。
地元紙記者が解説する。
「田久保氏の詐称疑惑が浮上したのは6月上旬、市議らに宛て告発文が届いたのが発端です。彼女はそれを“怪文書”と切り捨て否定していましたが、今月2日に開いた会見では一転、“大学に確認したところ除籍と判明した”と釈明しました。しかし続けて“東洋大卒を自ら公表しておらず、経歴詐称ではない”と強弁したのです」
この間、彼女は市議会議長などに“卒業証書”を示して疑念の払拭に努めたが、「その際も“チラ見せ”にとどめ、コピーも取らせなかった」(伊東市議)ことから、逆に不信の念を強める結果につながった。
「当初は辞職を否定した田久保氏でしたが、真相は司法の判断を仰ぐとして、検察に卒業証書などを提出した後に辞任する意向を表明しました。ただし、その後の出直し選挙には改めて出馬する考えを示し、強気の姿勢を崩していません。検察に卒業証書が渡ってしまえば今後、公開される機会が失われかねず、百条委は先手を打つ形で証拠提出を求めたのです」(前出の記者)
今回の騒動を複雑な思いで見つめる支援者の一人が重い口を開く。
「彼女の名前が地元で知られるようになったのは、伊豆高原で持ち上がったメガソーラー建設計画への反対運動に参加してからです。貯金を取り崩しながら運動に身を投じる献身ぶりが仲間の信頼を集め、それが6年前の市議選で初当選する原動力となりました」
今年5月の市長選でも自公推薦の現職候補を破る大金星を挙げたが、
「市議選にしろ市長選にしろ、彼女自身が“出たい”と言ったわけでなく、他にいい候補がいなかったので、消去法で彼女に白羽の矢が立ちました。もともと千葉県船橋市出身で、中学3年の時に伊東に移住してきた彼女は市民運動以外に目立った経歴はなく、2期目の市議選は最下位で何とか滑り込む辛勝でした」(同)
市長選でも「勝てる」と考えた関係者は少なかったが、まさかの番狂わせを起こした理由について、この支援者はこう言う。
「3期目を目指した現職市長が不人気だったことに加え、彼女の公約がキャッチーだった点は大きかった。市の新図書館建設の見直しや津波浸水想定区域内へのこども園建設反対など、市民が不満に思っていた身近な話題を争点にした途端、追い風が吹きました」
今年1月には、そんな彼女の意外な一面が垣間見え、話題になったことも。
「公明党の呼びかけで選択的夫婦別姓に関する勉強会が開かれ、意見を求められた彼女が“私は事実婚なので困っていない”と反対の姿勢を示し、周囲を驚かせました。経営する自然派志向のカフェでよく姿を見かけた男性がパートナーだといわれています」(参加者)
市民ファーストを掲げ、快進撃を続けてきた彼女だが、今回の対応を目にした支持者からは「往生際が悪い」と離反の動きも見え始めているという。
「他方、ワイドショーなどで連日のように取り上げられるうち、“入学は間違いなく、卒業が除籍だっただけでここまでたたくのはやり過ぎだ”と同情する声も少なくない。最近では、彼女が見直しを決めた市の大型事業に絡んだ“利権集団に市長は刺されたんだ”とする見方も広まっています」(前出の記者)
田久保氏自身もこう語る。
「新図書館建設は就任後、すぐ入札中止などの手続きを取りましたが、今回の騒動を経て、削ろうとした補正予算を復活させる動きがあります。そもそも学歴問題の端緒は怪文書が市議らに送られたことでしたが、実はその原本が私の地元の100円ショップのコピー機に置き忘れたままになっていたことが確認されています。すでに書いた人間のおおよその目星もついています」
田久保市長は18日、百条委員会に対し、卒業証書の提出を拒否したことを明らかにした。“本物”のはずでは……?
「週刊新潮」2025年7月24日号 掲載
新潮社
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