( 309111 ) 2025/07/20 07:12:51 0 00 「ステーキガスト」の食べ放題に挑む(写真:筆者撮影)
すかいらーくグループの「ステーキガスト」が食べ放題に力を入れている。毎月29日前後に提供している低価格のコースは2900円。全国的な焼き肉チェーン店が提供する食べ放題のコースは3000円を超えるが、それらと比較すると割安に感じる。
あらゆる食材が値上がりする中、「ステーキ食べ放題」を実施するチェーン店は希少な存在と言える。どのような工夫が隠されているのか、そして実際「元は取れる」のか、飲食店の食べ放題取材を重ねてきた筆者が確かめてみた。
■どれだけ食べれば元を取れる?
ステーキガストの食べ放題は全国81店舗で1カ月に1回のペースで開催されている。制限時間は90分間。提供しているコースは「カットステーキコース」(2900円)と「プレミアムステーキコース」(5800円)の2つのコースだ。
「カットステーキコース」はメインの肉料理4品とサイドメニューが食べ放題となる。具体的なメニューは以下の通りである。
◯メイン料理 ・熟成やわらかカットステーキ※下ごしらえで調味液に浸漬
・炭焼き風チキンステーキ ・洋風牛煮込み ・ミニハンバーグ ◯サイドメニュー ・ドリンクバー ・健康サラダバー ・スープ ・ライス ・日替わりカレー ・パン 「熟成やわらかカットステーキ」の通常価格は1099円だ。食べ放題が2900円のため、単純計算でカットステーキを3皿を食べれば元を取れることになる。
【写真】ステーキガストの食べ放題で実際に出てきた料理はこんな感じ。鉄板に並んだステーキからは湯気がたちのぼる
プレミアムステーキコースはカットステーキコースの4品に加えて、「熟成赤身ステーキ」と「熟成肩ロースステーキ」が追加で食べ放題となる。
取材した店舗は埼玉県にある「ステーキガスト 上戸田店」。店内にはおひとり様の食べ放題挑戦者もいた。今回筆者は、2900円のカットステーキコースを注文する。
ご飯とサラダ、ジュースを取りに行き、約5分ほど待っていると白い湯気に包まれた鉄板が運ばれてきた。香ばしい匂いがテーブルに立ち込めて食欲が刺激される。置かれた鉄板には9枚のカットステーキが並べられていた。
ステーキの重量を聞くと1皿200グラムとのことだ。最も安い価格のカットステーキの重量は140グラムのため、それよりも多い。
また、グランドメニューとは異なり、フライドポテトはついていなかった。どうやら別口で注文する方式のようだ。フライドポテトはお腹にたまりやすいため、このような配慮は非常にうれしい。
■ステーキを食べてみると…
ステーキを食べてみるとガツンとした脂の強さを感じた。ライスの上に乗せて、かっこみたくなるような濃い味だ。ついステーキ1皿とライス1皿を一気に食べてしまった。
続けて、食べ放題のメインメニューである「炭焼き風チキンステーキ」「洋風牛煮込み」「ミニハンバーグ」を注文する。約10分ほどで鉄板と皿が運ばれてきたが、どれもボリュームたっぷり。
炭焼き風チキンステーキはグランドメニューと同じように鉄板で提供された。洋風牛煮込みやミニハンバーグは小皿に盛られているが、少食の人が食べると満腹になりそうな量である。
この3皿の中で特に印象的だったのが洋風牛煮込みだ。ビーフシチューのようなコクがあり、スープと一緒に煮込まれた牛スジ肉の食感が気持ちいい。サイドメニューのパンとの相性もよく、色々な食べ方を楽しむことができた。
洋風牛煮込みのソースは、工場で作ったデミグラスソースに玉ねぎや赤ワインを加えているそうだ。牛肉はミスジステーキの下処理をしたときに残るスジ肉や切れ端などを活用したメニューだという。
食べ放題の開始から約60分が経った頃には満腹になった。最終的に食べた量は以下の通りである。
熟成やわらかカットステーキ 4皿 炭焼き風チキンステーキ 1皿 ミニハンバーグ 1皿 洋風牛煮込み 1皿 ドリンクバー ご飯とパンとサラダバー まったく同じものではないが、グランドメニューの金額に換算すると9082円。2900円で十分満足できる量を食べられる結果となった。
■コロナ前は一部店舗で実施だった食べ放題
ここでステーキガストの食べ放題の歴史について振り返っておきたい。
ステーキガストは2015年から地方を中心とする全国の約30店舗でハンバーグやステーキの食べ放題を開催していた。最初はカットステーキの食べ放題のみを実施しており、2016年にはハンバーグの食べ放題のコースも追加となった。
ただ、当時の食べ放題は、不定期の開催であり、積極的な広報活動を行っていなかったため、知る人ぞ知る食べ放題だったそうだ。コロナ禍に突入したことをきっかけに、このときの食べ放題はなくなった。
■カットステーキの食べ放題が復活
全店展開の食べ放題になったのは2022年9月。しかし、アメリカから輸入している肉の品質が不安定になり、2023年5月に「カットステーキコース」が食べ放題のメニューから除外される。代わりにハンバーグを中心とした3つの食べ放題コースが提供されることになった。
カットステーキの代わりに採用されたハンバーグだったが、顧客から「カットステーキの食べ放題を復活させてほしい」という声が増加したそうだ。
ステーキガストはカットステーキに使用する部位や切り方、工場での加工方法を改善し、品質を安定させる方法を模索。2023年10月にカットステーキの食べ放題が復活した。
円安による牛肉価格の上昇もあり原材料価格の負担は大きいが、食材の無駄を減らすメニュー開発などの工夫を徹底することで、3000円を切るコースを維持し続けているという。
ここまで食べ放題の中身を紹介してきたが、後編「あらゆる食材が値上がりしているなか、ステーキガストが2900円食べ放題を続ける理由」ではステーキガストが食べ放題を実施する理由に迫る。
中 たんぺい :フリーライター
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