( 309481 )  2025/07/21 07:35:58  
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両親とも他界し、相続した実家には現在誰も住んでいません。友人から「そのままにしていると税金が高くなるよ」と言われたのですが、管理しないといけないのでしょうか? 

 

親から実家を相続したけれど、結局誰も住んでいない状態が続いている……というような方もいるかもしれません。しかし、そのまま空き家として放置していると、「固定資産税が高くなる」など、思わぬ税負担が発生することがあるのをご存じでしょうか。 

 

この記事では、住宅用地の特例と、空き家を放置した場合に発生しうる課税の仕組みについて解説します。 

 

土地や建物を所有していると、毎年「固定資産税」や「都市計画税」が課税されます。これらの税金は、土地や建物の評価額に応じて課税されますが、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」という軽減措置の対象です。 

 

この特例が適用されることで、土地の課税標準額は最大で6分の1に減額されます。 

 

具体的には、住宅やアパートなどの敷地で200平方メートル以下の部分に関しては、固定資産税の本則課税標準額が価格の6分の1、都市計画税は価格の3分の1まで軽減される仕組みです。 

 

したがって、住宅として使用されているかどうかが、税額に大きく影響します。 

 

■空き家でも住宅であれば特例が利用できる 

空き家といっても、建物が存在して一定の管理状態が保たれている限り、住宅用地の特例は基本的に適用されます。誰も住んでいないからといって、すぐに特例が打ち切られるわけではありません。 

 

つまり、相続後も建物が残っていて住宅用地としての用途が継続していれば、税の優遇を受け続けられるでしょう。 

 

ただし、空き家の管理を怠って放置し、そのまま放置することで倒壊の危険があったり、景観を著しく損なったりするような状態になると話は変わります。 

 

相続した実家が空き家となり、そのまま放置していると、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)」に基づき、「特定空家」に指定されるおそれがあります。 

 

これは、地域の安全や衛生、景観を保つことを目的として2015年に施行した法律で、全国的な空き家問題への対策の一環として制度化されました。 

 

■特定空家と判断されるのはどのような状態か? 

「特定空家」とは、次のような状態にあると判断された空き家を指します。 

 

・建物が著しく傾いている、屋根や外壁が崩れかけているなど、そのまま放置すれば倒壊の危険がある状態 

・室内外にごみが堆積し、悪臭や害虫が発生するなど、そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態 

・外壁の劣化や庭の雑草が繁茂するなどして、景観を著しく損なっている状態 

・犯罪の温床になるなど、放置することで周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼしている状態 

 

上記のいずれかの状態に当たると判断された空き家は、自治体からの指導や勧告、最終的には命令や行政代執行(強制的な解体など)を受けることもあります。 

 

特定空家に指定され、自治体から勧告を受けると住宅用地の特例が解除され、固定資産税などが高くなる点に注意が必要です。特例が解除されて評価額そのままで課税されると、最大で6倍の負担増となり、家計に与えるインパクトは決して小さくありません。 

 

このような増税リスクを回避するには、空き家を放置せずに管理するか、何らかの活用策を検討する必要があるでしょう。 

 

 

空き家が「特定空家」に指定されることを防ぐためには、定期的な管理が不可欠です。庭木の剪定(せんてい)や建物の点検、ごみの除去など、最低限の手入れを怠らないようにする必要があります。 

 

■不動産売却や空き家バンクの登録も検討する 

将来的に使う予定がない場合、不動産売却や空き家バンクへの登録を検討するのもおすすめです。また、不動産会社の買い取りを利用して、自分で買い主を探す手間をかけずに手放すのもよいでしょう。 

 

あるいは、解体して更地にすれば、その後の活用の幅も広がります。ただし、更地にすると住宅用地の特例が適用されないため、税額の変動には注意が必要です。 

 

相続した空き家は、管理を怠ると思わぬ税負担を招くことになりかねません。特に「特定空家」に指定され、自治体から勧告を受けると、住宅用地の特例が解除され、固定資産税や都市計画税の負担が重くなる可能性があります。 

 

そのため、相続した空き家は放置せず、適切に管理しましょう。管理し続けることが難しい場合には、不動産売却や空き家バンクへの登録なども検討することをおすすめします。 

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 

ファイナンシャルプランナー 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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