( 309501 )  2025/07/21 07:46:54  
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相続税対策で、父が私を受取人にして「1000万円の生命保険」に入りました。これって税金がかからず全額受け取れるんでしょうか? 

 

相続財産のうち、公益性や社会政策的見地、国民感情の観点から、相続税のかからない財産があります。墓地や墓石、仏壇、仏具、死亡保険金や退職手当金の一定額などが非課税財産です。 

 

本記事では、相続税の対象となる死亡保険金について解説します。 

 

死亡保険金を受け取った場合、それが相続税の対象になるとは限りません。課税関係は、被保険者、保険料の負担者および死亡保険金受取人が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税対象になります。 

 

所得税が課税されるのは、保険料負担者と保険金受取人とが同一人の場合で、保険金の受取方法により、一時所得または雑所得として課税されます。 

 

相続税が課税されるのは、被保険者と保険料負担者が同一人の場合です。 

 

贈与税が課税されるのは、被保険者、保険料負担者および保険金の受取人がすべて異なる場合です。 

 

図表1 

 

図表1 

 

契約者(ほとんどは保険料負担者)や被保険者、保険金受取人は、生命保険の保険証券で確認できますので、この機会に確認しましょう。 

 

相続税が課税される契約形態(保険料負担者と被保険者が同一人)の場合、受け取った死亡保険金は、「みなし相続財産」として、相続税の計算上、遺産の総額に含められます。 

 

ただし、死亡保険金の受取人が相続人である場合、遺された家族の生活保障の観点から、「500万円×法定相続人の数(相続放棄した者も含む)」が非課税になる特典があります。「法定相続人の人数」には養子も含みますが、被相続人に実子がある場合は1人、実子がない場合は2人までしか含むことができません。 

 

たとえば、法定相続人が妻と2人の子どもであれば、死亡保険金1500万円までは相続税がかかりません。なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありませんので注意しましょう。 

 

先述したとおり、保険料負担者と被保険者が同一人の場合、受け取る死亡保険金は、税制上「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。 

 

しかし、民法上は死亡した人の「本来の財産」ではなく、保険金受取人の固有の財産となり、相続を放棄しても死亡保険金は受け取れます。また、遺産分割の対象にもなりません。 

 

たとえば、法定相続人が妻と子どもの2人の場合、子どもが相続放棄しても、妻が受け取る死亡保険金のうち1000万円が非課税です。しかし、相続放棄したのが妻(死亡保険金受取人)の場合、妻は相続人ではないとみなされるので(民法939条)、妻が死亡保険金を受け取る際、非課税枠は適用されません。 

 

 

死亡保険金の課税関係は、被保険者、保険料の負担者および保険金受取人が誰であるかにより決まります。本記事では、死亡保険金にかかる相続税について解説しました。 

 

死亡保険金に対する相続税の非課税限度額は、法定相続人の人数によって決まります。 

 

相続税が課税される場合、受取人が相続人であれば非課税枠が適用されますが、相続人以外であれば適用されません。相続放棄した場合、非課税枠は利用できませんが、死亡保険金は受け取れますので留意しておきましょう。 

 

出典 

国税庁 No.4108 相続税がかからない財産 

国税庁 No.1750 死亡保険金を受け取ったとき 

国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金 

 

執筆者 : 新美昌也 

ファイナンシャル・プランナー 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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