( 309866 ) 2025/07/23 03:51:55 0 00 砂浜に大量に打ち上げられたカキ殻(18日午後、宮城県石巻市で)
宮城県石巻市の長浜海岸に大量のカキ殻が漂着し問題となっている。養殖施設から脱落して砂浜に打ち上げられたとみられているが、詳しい原因は不明。この影響もあって市は今夏、海水浴場としての開設の中止を決めた。海岸を管理する県は「自然物だ」として様子見の姿勢だが、市民からは対応を求める声も上がっている。
「東日本大震災後に地域が寂しくなる中で、夏の盛り上がるイベントだったのに……」。近くのコンビニ店経営者(46)は、海水浴場の開設中止を残念がる。
渡波海水浴場がある同海岸は、市街地から最も近い海水浴場として人気スポットだった。だが、昨年は魚の死骸が流れ着いたことで開設を中止。海水温の上昇が原因とみられ、今年はさらにカキ殻の大量漂着もあってオープンが見送られた。
18日は約580メートルある海岸線の一部を埋め尽くすほどの大量のカキ殻が打ち上げられた。カキ殻は海中にも堆積(たいせき)し、水遊びに訪れて足の裏をけがする人が後を絶たないという。管理する県は、しけの時などに養殖施設から脱落したもので、現時点で不法投棄などではないとみている。
同海岸は震災の津波で施設が破壊され、1億3000万円の復興予算を投じ「長浜緑地広場」として屋外ステージや多目的広場、駐車場を整備。隣接地には30億円かけて防災緑地も整備され、2018年に海水浴場として再開した。ただ、コロナ禍の2年間の中断もあり、23年の来場者は震災前の約半数の3583人まで減少していた。
市観光政策課の内藤昌利課長は「カキ殻の漂着に加え、海水浴客の減少も考慮して休止を決めた」と述べ、来年以降の再開は未定。市は「海の日」の21日、民間団体と同海岸で清掃活動を行うが、カキ殻は自然物の扱いで回収しないという。
管理する県東部地方振興事務所水産漁港部の千田知弘・総括次長も、自然物との認識を強調。日によって漂着量が変化することもあり「現状では海岸施設に悪影響を及ぼすまでには至っていないと考える。今後も定期的に状況を注視していきたい」としている。
これに対し、市内でサーフショップを経営し、日本サーフィン連盟宮城北支部長(55)は「あれほど大量のカキ殻が漂着する海岸は他にはない」と首をかしげつつ、「せっかくの施設があるのにもったいないし、このままでは危険で市のイメージも悪くなる。回収に協力するので何とかしてほしい」と訴える。
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