( 310031 )  2025/07/23 07:01:17  
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10年物国債利回り 

 

 7月15日、長期金利が一時1.595%まで上昇。リーマンショック直後以来、およそ17年ぶりの高い水準となった。 

 

 テレビ朝日経済部 高瀬幸介記者は「参院選における与党の過半数割れ、野党の躍進が長期金利の上昇を後押しし、私たちの生活に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。背景を聞いた。 

 

 金利の基本的な話として高瀬記者は「金利はそもそも短期と長期に分かれており、1年以内のものを短期金利、1年以上のものを長期金利と呼んでいる。今回高水準となったのは長期金利の中でも代表的な指標とされる10年ものの国債の金利の利回りだ。国債は売られれば利回りが高くなり、買われれば利回りが低くなるので今は10年ものの国債が以前と比べて売られている状況にあるのだ」と説明した。 

 

減税から起こり得る“不都合なシナリオ” 

 

 長期金利上昇の要因については「一つの要因だけではないが、タイムリーな要因としては参議院選挙が挙げられる」として以下のように解説した。 

 

「今回与党の自民党・公明党が過半数割れが起きたことで、国会で法案を通す際に『減税』を掲げる野党と協力する必要が生じる。『減税』にはその分の『財源』が必要になるが、足りなければ赤字国債を発行する可能性がある。ところが日本には1100兆円と言われる先進国でもダントツの借金があるため、さらに借金が増えて国債の信用度が下がってしまえば国債が売られ、金利が上がってしまう」 

 

 高瀬記者は長期金利上昇のメリットについては「いろいろと調べたが、貯蓄性の生命保険の利回りが上がるくらいのものしか思い浮かぶものがない」とした上で複数あるデメリットの一つとして「国の借金が増えること」を挙げた。 

 

「国の信用が揺らいで国債が安くなると国債の格付けが引き下げられる可能性がある。このことが日本の有力企業の株価の格付け低下につながってしまうこともある。これらのことで『円』の価値が低くなり再び円安になるかもしれず、輸入物価が上がることとなり、結果、物の値段が上がってしまう」 

 

 つまり、今回の参院選では物価高を解消するために野党を中心に減税を訴えていたが、中長期的にはその減税によってさらなる物価高を招いてしまう可能性があるのだ。 

 

 高瀬記者はデメリットの2つ目として住宅ローン金利の上昇を挙げた。 

 

「日銀が徐々に利上げペースになってきたため、変動金利ではなく固定金利を選択する人も増えてきたが、住宅ローンの固定金利は長期金利が上がれば上がってくる。これから購入してローンを組む人には影響が生じる可能性がある」 

 

 さらには企業にもデメリットが生じるという。 

 

「長期金利は企業が資金を融資してもらう際の利息の基準になっている。長期金利が上がることで企業が資金を借りることに慎重になり、設備投資に躊躇したりすることで売り上げが下がり、景気が冷え込めば回り回って影響が生じてくる」 

 

 そして最も恐れているのは「トリプル安」だという。 

 

「債券安、円安、株安。このトリプル安は“日本売り”という『日本が売られてる状態』になる。こうなると輸入物価などもそうだが、様々なところに悪い影響がたくさん出てくるだろう」 

 

※高瀬記者の「高」は正式には「はしごだか」 

 

(ABEMA/ニュース企画) 

 

ABEMA TIMES編集部 

 

 

 
 

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