( 310724 )  2025/07/26 04:20:25  
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「Colabo」の仁藤夢乃代表理事が記者会見を開き、東京都内で売春目的で逮捕された20代女性4人に関する報道に抗議した。

複数のメディアが女性の個人情報を公開し、逮捕の瞬間を撮影したことについて、仁藤さんは「女性を加害者として扱う報道は人権侵害だ」と批判した。

また、女性が抱える複雑な背景や、性売買に絡む犯罪組織についても言及し、既存の売春防止法の問題点を指摘した。

報道機関には、性売買の構造を正しく伝え、加害者側に焦点を当てるよう求めた。

(要約)

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記者会見を開いた「Colabo」の仁藤夢乃代表理事 

 

東京都新宿区歌舞伎町の大久保公園周辺で、売春目的で客待ちしたとして、20代の女性4人が逮捕された事件をめぐり、女性支援団体「Colabo(コラボ)」は7月25日、都内で記者会見を開き、報道機関の対応に強く抗議した。 

 

この事件では、複数の報道機関が逮捕された女性の氏名や顔、年齢などを報じた。中には、逮捕の瞬間まで動画で撮影し放送したテレビ局もあった。 

 

Colaboの代表理事、仁藤夢乃さんは会見で「女性を被害者ではなく加害者としてみなし、さらし者にする報道は深刻な人権侵害だ」と批判。さらに「女性を処罰の対象とする売春防止法を改正し、買春者を処罰する新たな法律を制定すべきだ」とうったえた。 

 

この日の会見で、仁藤さんは「警察から情報を得た報道機関が逮捕前に隠し撮りをしたと思われるものも複数あり、逮捕の瞬間も警察が報道機関に撮影させている」と述べた。 

 

そのうえで「逮捕時の映像や写真がインターネット上で拡散され、女性たちの顔と名前は世界中で半永久的に検索され続ける。これは彼女たちの回復や自立を阻む深刻な人権侵害だ」とし、「女性を『見世物化』し、犯罪者としてさらし者にしている」と強い言葉で抗議した。 

 

また、仁藤さんは性売買に関わる女性の多くが複雑な背景を抱えていることにも指摘した。 

 

「路上に立つ女性の背後には、生活困窮や孤立、ホストやコンカフェ関係者からの脅しや借金、恋人からのDVなど複雑な問題がある。それを無視して、女性個人の犯罪として報じることは誤解と偏見を広げるだけだ」 

 

さらに、女性たちを路上に立たせ利益を得る複数の組織の存在にも言及。「女性を管理する犯罪組織や買春者の責任に踏み込まず、女性だけを切り取る報道は、事実をゆがめる行為だ」と語気を強めた。 

 

仁藤さんはさらに、1956年制定の売春防止法についても問題点を指摘した。 

 

「(法律は)『何人も、売春をし、またはその相手方となってはならない』と規定しながらも、性を売る側の『客待ち』や『勧誘』は処罰する一方、買う側の男性には罰則がない」 

 

「買春者は"受動的な相手方"とされ、実質的に免責されてきた。女性だけを逮捕する構造は70年間変わっていない」 

 

今回の事件でも、外国人観光客が「女性に金を渡したが性行為ができなかった」などと警察に通報していたと報じられている。仁藤さんは「日本では性を買おうとした男性が警察に行っても逮捕されないことが世界中に知られている」と語った。 

 

報道各社に対して「性売買女性を顔出し・実名で報じることは、女性の尊厳を奪い、未来を奪う行為。報道は女性をさらすのではなく、性売買の構造と加害者側に切り込むべき」と強く呼びかけた。 

 

弁護士ドットコムニュース編集部 

 

 

 
 

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