( 310921 )  2025/07/27 03:09:58  
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TBS外観 

 

 TBS系報道番組「報道特集」(土曜午後5時半)は26日の報道で、「参政党の”メディア排除”を問う」と題して、参院選で躍進した参政党が、22日の定例会見で、同党に批判的な報道をした一部記者の取材を拒否したことを特集した。 

 

 番組では東京選挙区で当選した参政党さや氏について、「批判しづらい空気ができていた」との他党候補の言葉も伝えると、参政党に投票した一般市民の声も伝えた。また22日の定例会見での神谷代表による参院選の総括コメントなども紹介した。 

 

 その後、神奈川新聞の記者が同会見の取材を拒否された話題に入った。まず、神奈川新聞が参院選公示前の紙面で「政党や候補者に有利または不利になる可能性がある内容でも、有権者の政治的選択に資すると判断した場合は報道する」と告知した上で、選挙期間中に「参政党が外国人差別をあおる主張をしている」とのキャンペーン報道を展開したことを伝えた。 

 

 さらに、神奈川選挙区で当選した同党の初鹿野裕樹氏が、選挙戦終盤の川崎駅での演説で、参政党に抗議するプラカードを掲げる人たちを「ああいうのは非国民」と断じ、聴衆から拍手が起きた様子も動画で紹介。現場取材した神奈川新聞の記者が番組の取材を受け「公共の空間で『非国民』という言葉を聞いたのはヘイトスピーチのデモ以外ではない。選挙運動に乗じた形で発言する怖さというか、そういう感情は持ちました」と語った。同記者に発言の真意を直撃された初鹿野氏が「辞書で調べればわかる」と回答した動画も放送。神谷代表が後日の会見で「非国民という言葉は良くない。初鹿野さんにしっかり注意したい」と述べたことも伝えた。 

 

 番組では、参政党が神奈川新聞記者の会見取材を拒否したのは、その一連の出来事の後だったと説明。会見場で、記者と当スタッフがもめた際の音声もオンエアされた。党スタッフが「事前登録されてなかったらダメですよ」と聞くと、記者が「なんで排除されなきゃいけない」「政党としてあり得ない」と反論。党スタッフが「あり得るかどうか、こちらが決めます」と話したやりとりも報じた。会見取材を拒否された石橋学記者は、実名で番組の取材に対応。最後には警備員を呼ばれたため、退場を余儀なくされたといい、初鹿野氏の「非国民」発言を追及する予定だったことを念頭に「都合の悪い記者を排除する、明らかに意図があった」と推察した。その上で「権力の側が『いていい記者』と『いてはいけない記者』を分断して、排除していく。権力の暴走というものがすでに始まっている」と指摘した。 

 

 

 

 この状況について、TBS山本恵里伽アナは、ジャーナリズムに詳しい早大の澤康臣教授に取材。山本アナは「記者会見出席を拒否するという問題について、澤教授は『メディア同士がもっとつながって、声をあげていくべきだ』と、話をしていました」と紹介すると「市民にとって必要な情報の中にはもちろん、政党や政治家にとって、都合の悪い情報もあるわけですよね。それが伝えられなくなっていしまうと、情報を受け取る側の市民全体にもつながるんだ、そうおっしゃっていました」と澤教授の解説を振り返った。 

 

 日下部正樹キャスターは「非国民という言葉は、権力側が気に入らない人物を排除する際に使う最強の言葉ですよね。戦前、警察や軍が『非国民だ』と言っては、権力に異を唱える人を次々、拘束、弾圧しました。人々は非国民呼ばわりをされるのを恐れて、口をつぐむか、他人を密告する。そんな社会になってしまった。参政党の初鹿野議員は元警察官ですよね。その彼が、公然と非国民と言い放ち、支持者が歓声をあげた。無視できないことだと思う。参政党の取材拒否ですけれども、公の政党が恣意(しい)的に記者を選別することの意味、これをまず記者の皆さんに考えて頂きたい。記者は権力者の広報ではありません」と批判。その上で「記者会見の出席拒否について、番組では参政党に取材を申し込みましたけれども、期限までに回答はありませんでした」と補足した。 

 

 参政党は、神奈川新聞の入場を拒否したことについては、24日に公式サイトで経緯を説明。「同記者は、7月20日に投開票された第27回参議院選挙の選挙期間中、『しばき隊』と呼ばれる団体と行動を共にし、本党の街頭演説で大声による誹謗中傷などの妨害行為に関与していたことが確認されています」とし「記者会見は、本党の考えや立場を広く伝えるための大切な場であり、妨害や混乱があっては本来の目的を果たせません」と理由を訴えていた。神奈川新聞も「異論を封じようとするメディアの選別に強く抗議する」などと反論している。 

 

 参政党はこれまでに「報道特集」に対しても抗議。今月12日放送のをめぐって、「選挙報道として著しく公平性・中立性を欠く内容が放送された」とし「報道特集」側も「報道には、有権者に判断材料を示すという高い公共性、公益性があると考えております」と反論している。参政党側はこの対応を不服としてBPO放送人権委員会に申し立てを行うことを表明している。 

 

 

 
 

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