( 311001 )  2025/07/27 04:42:00  
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18日、首相官邸で記者団の取材に応じる赤沢経済再生相(AP) 

 

 赤沢亮正経済再生担当相(64)が26日、NHK「サタデーウオッチ9」(土曜後9・00)に生出演し、合意に至った相互関税を巡る日米交渉の数字のカラクリを説明した。 

 

 当初は25%が提示されていた相互関税は来月1日から、自動車を含め15%となる。ほかコメの輸入を75%増加、防衛装備品の購入額を5000億円増の2兆5000億円に、ボーイング社の航空機約100機購入、大豆、トウモロコシなど約1兆2000億円分を購入することでも合意した。鉄鋼・アルミニウムの税率は50%で維持される。 

 

 4月の初渡米で赤沢氏は、トランプ米大統領らと直接対峙(たいじ)。3カ月で8度の渡米で粘り強く交渉を続けた。 

 

 大統領次席補佐官のSNSでは、交渉の様子が写真で公開されている。トランプ氏が目の前に置いた「日本が米国に投資する」などと書かれたボードの下には、「50% Profit Share」(利益は50%ずつ)とも記されていた。ボードは米国側が用意したものだという。 

 

 しかし、合意条件の中には、米国への5500億ドル(約80兆円)の投資も含まれ、利益のうち9割が米国の取り分となるとされている。数字だけを見れば、米国が圧倒的に有利なものとなる。 

 

 赤沢氏はこの数字について「丁寧に説明すると、誤解がこれもあるんですけど」と前置き。「5500億ドル、“真水”という言い方をしますが、キャッシュで5500億ドルがアメリカに行くわけではありません」と説明した。 

 

 5500億ドルの内訳は、出資、融資、融資保証だといい、取り分については出資の部分だけだという。出資について、赤沢氏は「プロジェクトに出資して、やった時の利益をどうやって分けるかという話。5500億ドルの中で1~2%くらいになるだろうと思われる出資について、利益を日本としては50:50でどうですかという話をした」という。 

 

 「我々としては納得できるところまでいかないと。“Mr. President, can I ask one more?(大統領、もう一つお尋ねしていいですか?)”とやっているのが、この50%がじわじわと3分の2になり、4分の3になりというところで、最後に行き着いたのが90%」 

 

 その上で赤沢氏は、関税の引き下げに失敗し、25%のままだった場合と比較。「申し上げておきたいのは、関税を10%引き下げることに成功して、回避できた損失というのは10兆円に及ぶかというくらい。ここで50%から90%まで譲ったことで失ったのは、せいぜい数百億円の下の方だと思う」と説明した。 

 

 この譲歩については「十分ディールの対象になる」としつつ、米国サイドにとっては「逆にそこは有利であることは間違いない」という。「9:1であることを大統領が国内向けに“これは取った”と言っていただいて…まさに取られたので。それは、ディールの中で譲り合いながらやってます」と説明。トランプ氏にとっては、一見圧倒的に見える数字を国民に示すことによって、交渉の成功をアピールできるメリットもあるとした。 

 

 こうした事情を踏まえつつ、赤沢氏は「国を売っただの、80兆円だのいろんなことを言われていますけど、ちょっと勘違いが多くて」と付け加えた。 

 

 

 
 

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