( 311311 )  2025/07/28 06:14:06  
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安青錦(右)のタオルがいち早く売り切れに(左は館内の売店) 

 

 波乱の展開で売店グッズの在庫管理も困難を極めているようだ──。新会場のIGアリーナで開催されている大相撲名古屋場所。4年ぶりに東西の横綱が揃ったが、豊昇龍が3日連続で金星を与えたことで5日目から休場。ひとり横綱となった大の里は13日目に東前頭13枚目の琴勝峰に敗れて4敗となり、優勝戦線から脱落した。新横綱場所での金星配給4個のワースト記録(昭和以降)を更新する事態に。波乱の展開の影響は様々なところに及んでいるようだ。 

 

 今場所は2横綱だけでなく、ひとり大関の琴櫻は勝ち越すのが精一杯の状態。大関候補として場所に臨んだ関脇の霧島と若隆景、小結の欧勝馬と高安も次々と脱落していった。優勝争いには安青錦、琴勝峰、草野と平幕力士ばかりが千秋楽まで残った。平幕優勝が続いたここ2、3年の番付崩壊が戻ってきた形だ。 

 

 その影響は、新会場1階にあるサブアリーナに設けられた「親方売店すも~る」に置かれた相撲協会オリジナルグッズにも及んでいる。人気力士の四股名が入った応援タオルや応援うちわなどが並んでおり、十両の取組が始まるまでは若い親方衆が担当するレジに長蛇の列ができる人気コーナーである。 

 

 なかでも人気なのが応援タオルだ。カラフルなデザインの「のぼり風力士タオル」(税込1500円)と四股名だけが書かれた「応援タオル」(同750円)の2種類あり、多くのファンが手にするのは前者。場所が始まった当初は新横綱の大の里が大人気で、4日目の午前中に品切れとなった。売店担当者は「大の里関は他の力士の何倍もの量を仕入れていたのだが、慌てて追加注文を入れました」と新横綱人気に驚いていた。 

 

 場所が進むにつれてその状況が変わってきた。初日に大関・琴櫻、3日目に横綱・豊昇龍に勝ち、その後も若隆景、霧島、王鵬などを破って快進撃を続けた東前頭筆頭の安青錦の「のぼり風力士タオル」が売り切れ、何度か追加されたが在庫も底をついて前半戦時点で欠品となってしまったという。琴勝峰は売り切れまでとはならなかったが品薄状態で、草野は商品すら販売されていなかった。 

 

 もうひとつの「応援タオル」も19種類が発売されるなか、琴勝峰や草野の商品は販売されておらず、13日目の時点で唯一売り切れているのが安青錦だった。 

 

 ファンは贔屓の取組で四股名が書かれたタオルを掲げて応援するスタイルが定着しているが、安青錦は声援が大きいのに掲げられるタオルの数が少ない。その理由は欲しくても手に入らないファンが多いからなのかもしれない。 

 

 逆に大量の「のぼり風力士タオル」が残っている力士も少なくない。5日目から休場した豊昇龍、初日から休場している大栄翔、負けが込んでいる琴櫻などは、人気力士ということで準備されていたのであろう商品が多く残っていた。 

 

 他にも四股名が入った商品が数多くある。「マフラータオル」(同1800円)、「のぼり風ハンドタオル」(同650円)、「豆力士ミニタオル」(同670円)、「推しバック」(同1500円)、「力士巾着」(同650円)、「ミニのぼり」(同780円)、「関取控え座布団」(同3850円)などがある。ただ、いずれも大の里や琴櫻、若隆景など人気力士を中心に商品展開されており、初土俵から12場所、幕内3場所目の安青錦や琴勝峰のグッズは応援タオルしかないわけだ。入門から1年の新入幕の草野は応援タオルすらない。 

 

 売り場担当者も「安青錦関の商品はどこにあるか聞かれるが、商品展開していないと答えるしかなくて…」と申し訳なさそうに話していた。土俵での番付崩壊がグッズ売り場の在庫管理にも“崩壊”を引き起こしているようだ。 

 

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