( 311626 ) 2025/07/29 07:03:07 0 00 石破茂首相
(ブルームバーグ): 石破茂首相(自民党総裁)は28日午後、党本部で開いた両院議員懇談会で、続投に理解を求めた。「政治空白を生むことがないよう責任を果たしたい」としたが、複数の議員から参院選大敗の責任を取るよう求める意見が噴出。議論は約4時間30分に及び、首相を取り巻く環境の厳しさが浮き彫りとなった。
懇談会終了後、首相は自身の責任については懇談会での意見などを「総合的に踏まえて適切に判断したい」と記者団に語った。「国民世論と党の考え方が一致することが大事だ」とも指摘した。現時点で続投方針に変わりはないかと問われ、「ございません。果たすべき責任を果たしていきたい」と明言した。
森山裕幹事長は懇談会で、参院選を総括する委員会を近く設置し、8月中に報告書をまとめる方針を示した。その後、幹事長としての責任を明らかにすると語った。
参院選大敗を受け、党内では首相の退陣論が拡大している。首相に批判的な笹川博義農林水産副大臣らは緊急事項を議決する権限がある両院議員総会の開催を求める署名活動を行っており、懇談会でも要求が多く出た。
森山氏は総会を開催する方向で、29日に開く役員会で協議する考えを記者団に明らかにした。「できるだけ早く開いた方が良い」とも述べており、今後は総会に向け、石破首相への退陣圧力が強まるかが焦点となる。
朝日新聞の世論調査では、石破首相は辞める「必要はない」が47%と、「辞めるべきだ」の41%をやや上回る結果になった。日経新聞の調査では6割近くが短くとも26年春までの続投を求めた。毎日新聞の調査では、次の首相にふさわしい人でトップだったのは石破首相だった。25日夕には官邸前で「石破辞めるな」と訴える異例のデモも開催された。
続投に賛否両論
懇談会の冒頭、石破首相は参院選の結果について「深く心からおわびする」と陳謝した。日米関税交渉でのトランプ政権との合意について「着実な実行ということに全力を尽くし、万全を期したい」と指摘。「うそのない心で、国家・国民のために尽くす、そういうような思いでこれから先、臨みたい」とも述べ、続投方針への理解を求めた。
出席した鈴木貴子衆院議員は、昨年の衆院選、6月の東京都議選に続く参院選大敗だとし、「組織の長として総裁はじめ執行部にはけじめをつけていただきたい」と首相らの責任を追及した。
中曽根康隆青年局長も、参院選での敗退について「結果責任は必ず誰かが取らなければいけない。組織のトップや執行部がけじめをつけるのは大事だ」と発言したという。その上で、「けじめをつける時期」を早期に示すよう求めた。
森山氏によると、懇談会には236人が出席し、64人が発言した。星北斗参院議員は続投論もあったが、一定の時期が過ぎた後に「辞めていただくことがいいという発言が大半だった」と述べた。
船田元衆院議員は、トランプ政権との関税合意について内容を明らかにすることや、国内対策を講じる上で、石破氏が「一番ふさわしい人物だ」と続投支持を明言した。他にも「国難と言えるような状況の中で、党内抗争に移るような行動はすべきでない」と「石破降ろし」の動きをけん制する意見も出たという。鈴木、中曽根、星、船田の各氏は懇談会に出席後、記者団に語った。
市場も注視
28日の外国為替市場では円が1ドル=148円台後前半に下落した。米国と欧州連合(EU)が貿易協定で合意するなど、通商交渉の進展を受けたリスク選好の回復が円売り圧力となっている。
市場は両院議員懇談会の動向も注視している。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、石破首相が早期に退陣する流れが強まれば、「投機勢による円売りの動きが強まる可能性がある」との見方を示した。債券市場も財政悪化懸念から債券売りにつながりかねない。
同日の東京株式相場は続落。石破首相の政権運営を巡る先行き不透明感も重しとなっている。
--取材協力:横山恵利香、野原良明、山中英典、横山桃花、清原真里.
(c)2025 Bloomberg L.P.
Akemi Terukina, Takashi Umekawa
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