( 311851 )  2025/07/30 06:04:46  
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ガソリン税の暫定税率を巡り、立憲民主や日本維新の会など野党8党が11月1日の廃止を打ち出した。廃止によって世帯当たりのガソリン購入費は年7千円程度抑えられるとの試算もあり、物価高に苦しむ家計の負担が軽減される。与党は早期廃止に慎重だが、衆参両院で少数与党となったことで、野党は結束して実現を目指す。廃止に伴う多額の税収減や手続きにかかる時間の確保が課題となる。 

 

■早期廃止へ野党結束 

 

ガソリン税は現在1リットル当たり53・8円が課され、本則税率分28・7円と暫定税率分25・1円からなる。暫定税率は1974年に道路整備財源に充てるために始まり、厳しい財政事情などを背景に維持されてきた。 

 

暫定税率が廃止されれば家計負担は抑えられる。ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミストの試算では、現在の定額10円の補助金制度から暫定税率廃止に切り替わった場合、世帯当たりのガソリン購入費は年7155円減るという。 

 

暫定税率の廃止は、昨年10月の衆院選で躍進した国民民主が自公両党に迫り、3党は同年12月に廃止で合意。ただ具体的な廃止の時期は示されなかった。今年3月からは自公と日本維新の会が廃止時期を協議したが合意には至らなかった。 

 

野党は先の通常国会で、7月1日の廃止を盛り込んだ法案を提出。衆院で可決したものの、自民、公明両党が過半数を占めていた参院では採決されずに廃案となった。野党は今回、結束して廃止の早期実現を急ぐ。 

 

■廃止で減る税収は1兆5千億円規模 

 

ただ、与党は慎重姿勢を崩さない。ガソリンと軽油を合わせ年1兆5千億円規模の税収減を補う財源のめどが立っていないためだ。軽油に関しては地方税で、自治体の不安が大きい。 

 

また、ガソリンスタンドが廃止前に仕入れた商品を販売する場合、暫定税率分を転嫁できず負担せざるを得なくなる恐れがあり、政府が穴埋めする必要性が指摘されている。与党はこうした制度設計や、周知に数カ月はかかるとの認識だ。 

 

加藤勝信財務相は29日の記者会見で「財源面からどう対応するのか、円滑な施行を実現するためにどう対応するのか。実施に当たってはそうした問題を解決することが必要」と語った。 

 

対する野党はこれまで、廃止の財源は税制改正や歳出削減を通じて捻出するといった考えを示している。またガソリンスタンドへの支援も与党の想定より制度設計の時間を短縮できるとしており、今後、暫定税率の廃止に向け与野党間の協議が加速しそうだ。(中村智隆) 

 

 

 
 

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