( 311916 ) 2025/07/30 07:17:18 0 00 石破茂首相(左)。右は赤沢亮正経済再生担当相
日米関税交渉を巡り、政府は米国との間で合意に関する共同文書を作成しない方針だ。相互関税の上乗せ分の発動日が8月1日に迫る中、合意した税率引き下げを優先し、トランプ米政権との確認作業が生じる文書作成に否定的。ただ、日米両国で解釈の違いを生むとして与野党で作成を求める声は根強い。経済官庁幹部は米側の〝後出し〟要求が出かねず「やぶへびになりかねない」と警戒する。
「関税率の引き下げが実現するまでは、それが最優先で最も急ぐべき事項だ」
赤沢亮正経済再生担当相は29日、報道陣から合意文書を作成していないことについて問われ、改めて文書は不要との考えを示した。
さらに関税の引き下げに必要なのは「米側の国内措置」だとして、ボールは米側にあるとの認識を示し、速やかな合意の履行を求めていく重要性を強調した。
ただ、合意内容を巡っては、日本の対米投資や米国産米の輸入などに関し、日米間で認識に違いが出ているとの指摘がある。与野党からは「首脳間で合意文書を詰めるべきだ」「合意文書を作らないと危うい」といった声も上がっている。
これに対し政府は文書作成に伴う作業で米側の合意履行が遅れたり、追加要求を突き付けられたりする恐れを訴える。政府関係者は「こちらが取るもの(関税率の引き下げ)ははっきりさせた。逆に取られるものはあいまいでよく、これ以上は米国から『これもよこせ』といわれるリスクをはらむだけだ」と指摘した。
日米合意では、米側が25%を課すとしていた相互関税と、27・5%が発動済みの自動車関税について、いずれも15%に引き下げることが決まった。しかしトランプ米大統領が合意の履行に必要な大統領令に署名しなければ、関税引き下げは実現しない。政府は米側に早期の署名を求めている。
こうした中、日本側も着実に合意を履行する姿勢をアピールし、トランプ政権の不信感を取り除くことが求められる。政府は29日の閣議で、対米交渉のために設置した作業部会で合意内容の履行状況について進捗を管理することを決めた。(福田涼太郎、根本和哉)
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