( 312106 )  2025/07/31 05:24:07  
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 歌は時代を映す鏡とも言われている。よく聞かれている曲を並べていくと、その時代の世相がよく分かるものだ。1970代〜1990年代はクルマが時代の中心にいたころ。その頃には、クルマが主題になっている曲も数多くあったものだ。令和の今では考えられない、車名が曲名になった名曲を紹介していきたい。 

 

文:佐々木 亘/画像:ベストカーweb編集部 

 

 まずは1976年の名曲。矢沢永吉さんのセカンドアルバム「A Day」に収録された「真っ赤なフィアット」を紹介しよう。イントロからついつい体でリズムを刻んでしまう、洒落たブルージーなミディアムファーストテンポな一曲だ。曲中にフィアットという単語は5回登場する。 

 

 「真っ赤なフィアット飛ばす」と出てくるので、ここで出てくるフィアットは慣れ親しんだフィアット500ではなく、124スパイダーあたりのオープンクーペあたりだろうか。堅実セダンだった130・131・132という線もありそう。 

 

 70年代のフィアットは、セダンが主流。小型ハッチバックがイメージされる今とは違い、セダンやクーペが主流だったことも、真っ赤なフィアットから教わった。 

 

 次は1978年にリリースされた松任谷由実さんの6枚目のオリジナルアルバムに収録されている「Corvette 1954」。シボレー・コルベットをテーマにした来生たかおさんとのデュエット曲だ。 

 

 1954年と言えばコルベットの初代C1型が登場した年。スチール製フレームに、量産車として初めてとなるFRPボディパネルを貼り付けた、ヘッドライトとボンネットの形状が特徴的な1台である。 

 

 曲中にも特徴的なボディラインが歌われているのだ。ミディアムバラードのこの曲を聞きながら、C1コルベットでドライブするのは素敵なひと時。コルベットにお乗りのオーナーさんは、是非この曲を聞いてみてほしい。 

 

 3曲目は1990年に発売された長渕剛さんの12枚目のオリジナルアルバムに収録されている「JEEP」という曲。アルバムに先行して発売された23枚目のシングル曲でもある。 

 

 ジープに乗ってドライブしながら、過去への後悔と未来への決意を綴った詞で、サビの最後には、「driving with my JEEP」と歌われ、本人の体験が混じっていることがうかがえる曲だ。 

 

 2023年8月に投稿された長渕剛さんのインスタグラムには、初代YJ型ジープラングラーと共に長渕さんが写る写真がアップされた。30代の頃にYJ型ラングラーで、九十九里浜へ走ったという。 

 

 初代だけに奢られた角目のヘッドライトが、なんともかっこいい。そしてワークブーツに赤いジャンパーでジープに乗っていた長渕さんも、カッコよすぎます。 

 

 

 最後に紹介するのは、アラフォー以上のオジサンたちなら知らない人はいないであろう曲、小沢健二さんの歌う「カローラIIにのって」だ。1995年にリリースされたこの曲は4代目カローラIIのCMソングになっていた。 

 

 「カローラIIにのって〜」という一節は、アラフォー以上ならすぐにメロディーが乗ってくる。オザケンさんと言えば、特徴的な作詞作曲で有名だが、この曲の作詞作曲には関与していないのも驚きの事実。 

 

 そもそも販売予定ではなく、5000枚ほどのプレスで終わる曲だったのだが、CMで人気に火がつき市販用CDは80万枚超の売り上げとなる大ヒット。オリコンシングルチャートでベスト10にも入った。 

 

 ちなみに4代目カローラIIの後期型のCMでは、カジヒデキさんの歌う「カローラIIに恋をした」が流れていた。1世代で前後期と2曲生まれてしまうカローラIIって、凄すぎる。 

 

 令和の今ではデリカミニのように、昔の曲の替え歌をするクルマはあるが、車名がそのまま曲になってシングルカットされるようなクルマは全くない。 

 

 昭和・平成とクルマの勢いを感じる曲が目白押しだったが、令和では果たして。世相的にはミニバンやSUVが曲名に使われそうだが。フリードやアルファードなどが曲名となった歌が生まれ、令和もクルマの勢いは健在であってほしい。 

 

 

 
 

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