( 312156 ) 2025/07/31 06:12:49 0 00 beauty-box/shutterstock.com
老後のお金の問題について、不安を抱える人も多いでしょう。
一つの目安として「2000万円」を目標に、貯蓄をしている人もいるかもしれません。
では、老後資金を「2000万円以上」貯める人は実際にどのくらいいるのでしょうか。
本記事では、老後資金を2000万円以上貯める人の割合を紹介します。
また、2000万円の老後資金があれば、夫婦で年金「月15万円」で働かずに生活できるのかもシミュレーションするので、ぜひ参考にしてみてください。
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まずは、実際に老後資金を2000万円以上貯める人がどの程度いるのかを確認します。
内閣府「令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果(全体版)」によると、高齢者世帯の金融資産保有額の分布割合は以下の通りです。
なお、配偶者がいる場合には世帯合計での金融資産の保有額で集計しています。
●老後の世帯金融資産総額 ・0万円 5.3% ・1~500万円 16.0% ・500~1000万円未満 12.5% ・1000~2000万円未満 14.4% ・2000~3000万円未満 9.5% ・3000~5000万円未満 8.0% ・5000万円以上 6.7% ・不明・無回答 27.6% ・平均値 1769万円 資金が2000万円以上ある世帯は、わずか24.2%です。
2000万円を貯められる世帯は、少数派であることがわかります。
先ほど高齢者世帯の金融資産保有額を紹介しましたが、老後は年金をもらえます。
そのため、生活費のすべてを貯蓄で賄わなければいけない訳ではありません。
では、年金はどの程度受け取ることができるのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の年金受給額の分布は以下のとおりです。
●厚生年金受給者の年金受給額(額面)(厚生年金+国民年金) 年金受給額・割合
・月額1万円未満 0.28% ・月額1万円以上2万円未満 0.09% ・月額2万円以上3万円未満 0.31% ・月額3万円以上4万円未満 0.58% ・月額4万円以上5万円未満 0.61% ・月額5万円以上6万円未満 0.85% ・月額6万円以上7万円未満 2.34% ・月額7万円以上8万円未満 3.97% ・月額8万円以上9万円未満 5.44% ・月額9万円以上10万円未満 6.73% ・月額14万円以上15万円未満 5.89% ・月額25万円以上26万円未満 0.75% ・月額26万円以上27万円未満 0.45% ・月額27万円以上28万円未満 0.25% ・月額28万円以上29万円未満 0.13% ・月額29万円以上30万円未満 0.06% ・月額30万円以上 0.09% ・平均年金月額 14万3973円 *厚生年金保険受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない報酬比例部分のみの65歳未満の受給権者が含まれています。
平均受給額は、月14万3973円となっています。
ただし、受給額が月10万円未満の人もいれば、月25万円以上の人もいるため、人によって受給額は大きく異なります。
なお、上記は会社員や公務員としての勤務経験がある厚生年金受給者の年金受給額です。
会社員や公務員経験がない自営業者や専業主婦は国民年金のみしかもらえないため、より受給額が少なくなります。
国民年金の満額受給額は月額6万9308円です。
先ほど人によって年金受給額が異なることを確認しましたが、例えば夫婦で「月15万円」の年金をもらう場合、老後資金が2000万円あると年金と貯蓄のみで生活できるのでしょうか。
まずは、老後生活ひと月にかかる支出を確認します。
総務省統計局「家計調査報告書(家計収支編)」によると、65歳以上夫婦のみの無職世帯の平均支出は以下のとおりです。
●65歳以上の夫婦のみ無職世帯の支出(月額) ・食料 7万6352円 ・住居 1万6432円 ・光熱・水道 2万1919円 ・家具・家事用品 1万2265円 ・被服及び履物 5590円 ・保険医療 1万8383円 ・交通・通信 2万7768円 ・教育 0円 ・教養娯楽 2万5377円 ・その他の消費支出 5万2533円・うち諸雑費 2万2125円・うち交際費 2万3888円・うち仕送り金 1040円 ・直接税 1万1162円 ・社会保険料 1万9171円 ・合計 28万6877円 ※諸雑費以下はその他の主な消費支出の内訳
社会保険料と税金をあわせた平均支出は、月28万6877円です。
夫婦での年金収入が月15万円の場合、ひと月あたり13万6877円の赤字となります。
年間にすると、164万2524円の赤字です。
老後資金が2000万円ある場合、約12年で2000万円が枯渇する計算となります。
長寿化が進む日本においては、やや不安が大きい数字です。
そのため、ゆとりのある老後生活を過ごすには、2000万円よりも多くの貯蓄が必要といえます。
もちろん、生活費の水準は人によって異なりますが、一つの参考にしてみてください。
貯蓄を増やすことに加えて、年金の受給額を増やすことがゆとりのある老後生活を過ごすためには重要です。
年金は、現役時代の平均年収を上げることや勤務期間を長くする方法で増やすことを目指せますが、他にも受給会時期を遅らせる「繰下げ受給」を利用する方法もあります。
通常は65歳から受け取りを開始するところを最長75歳まで受給開始を遅らせることができ、遅らせた分だけ一回の年金受給額は増える仕組みです。
ぜひ、これらの方法も選択肢に入れながら、少しでも年金を増やしてゆとりのある老後生活を目指してみてはいかがでしょうか。
・内閣府「令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果(全体版)」 ・厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・総務省統計局「家計調査報告書(家計収支編)」 ・日本年金機構「年金の繰下げ受給」
苛原 寛
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