( 312627 ) 2025/08/02 05:04:32 0 00 「石破やめるな」デモ
自民党本部で行われた「両院議員懇談会」で、石破茂総理は歴史的な大敗を喫した参院選の結果を受け、陳謝した上で続投する考えを強調した。しかし党内では退陣論が高まる。党の最高顧問である麻生太郎氏も「続投は許されない」と周囲に話しており、党内では“石破おろし”が活発化している。
しかし一方で先週、総理官邸前には年齢・性別問わず多くの人々が集結し、「石破辞めるな」「石破踏ん張れ」などのプラカードを掲げ、総理の続投を求めるデモが行われた。そして実は、このデモには多くの野党支持者も参加していたという。
なぜ彼らがそこまで石破政権の存続を願うのか。『ABEMA Prime』では、デモ参加者たちとともに、“石破やめるな現象”について考えた。
96坊主さん
96坊主(くろぼうず)さん(60)は、「反自民」でありながら官邸前の「
」デモに参加した。地方公務員を去年退職して、デモ参加は初めてだ。自民党が負けたのは「石破氏のせいじゃない」として、裏金・森友・桜を見る会・旧統一教会……など腐敗した安倍政権の尻拭いをさせられたと考えている。そして、石破氏は「自民の中ではまともに話ができる」存在で、権力と戦ってきた政治家であり、元公務員としてもシンパシーを覚えるという。
参加した動機について、「昼に『今夜デモがある』と知った。石破氏が辞めたら問題になるため続投してほしい。私は反自民だが、石破氏は昔から『正しいものは正しい。間違っているものは間違っている』と言っていて、あの人だけは自民党内で信じられる。唯一まともな議員が辞めれば、本当に自民党は腐る」と語る。
現地の様子は「自民党が好きだと言う人はなかった。『自民党は嫌い』『私はれいわ新選組』『私は共産党』と言いつつ、石破総理は好きだという人が集まっていた。まともな議員のいる自民党が好きなのではないかと思う」と振り返る。
96坊主さんは、今回の参院選で、参政党に投票した。「“日本人ファースト”が好き。人によっては差別に取れるが、政治家にとって一番大事なのは『誰のために働くか』だ。アメリカファーストのトランプ大統領も合っている。自国民が幸せにならず、貧乏で苦しんでいるのに、他人を助けるのはどうなのか。ただ、ひとつ間違うと、ヒトラーのように“ゲルマン民族最高”となり、戦争につながる諸刃(もろは)の剣だ」。
佐々木俊尚氏
文筆家で情報キュレーターの佐々木俊尚氏は、「今回の参院選で、自民は間違いなく負けたが、立憲民主党や共産党、社民党も壊滅的な打撃を受けている。旧来のリベラルが凋落している近年の傾向が、ますます加速した。だから今後、旧左派勢力が政権を握る可能性はほぼゼロだ」と指摘する。「その中で勢力を伸ばしているのが、参政党と国民民主党、そして日本保守党だ。中道右派もしくは、すごく右。そういう状況下では、石破自民党は保守本流より左寄りに見えるため、そこに左派政党の人たちが一筋の望みを託している構図だろう」。
その上で、96坊主さんの投票行動は「いま言った構図とは異なる」として、「旧来の“左右”が、もはや何の意味もなくなっているということではないか。『石破氏が好き』は、自民党内で干されて、やっと総理になれたのに、相変わらず麻生氏や岸田文雄氏に嫌われているところが、『敵の敵は友』といった仲間意識につながっている。イデオロギーではなく、個人の好みとして『好きだ』と言っている人が多いのではないか」と考察する。
お笑い芸人のケンドーコバヤシは、「デモのニュースを見て、率直に『愛なき応援』のように不気味に感じていた。応援していない人が応援する怖さを覚えていたが、96坊主さんの話で『愛があるんだ』と知った」と驚く。
その上で、参政党に投票したという話を聞いて、「ますますパニックになった。考えれば考えるほど、芯が見えなくなる」と感じた。また石破氏については、「個人攻撃ではないが、バラエティー番組にすごく出ていた時期に、『もっとも冗談が通じない人だ』との体感があった。安倍晋三氏は通じた」と評した。
ANN調査
佐々木氏は「ある人がインターネットで、『右か左か』ではなく、『本音派と建前派』だと分析していた」と紹介する。「石破氏も立憲民主党、共産党も理念を言いたがる。ただ理念の道筋をどう立てるかは言えない。一方の自民党は、理念はハッキリしないが、政策実行力が異常に高い。石破氏が嫌われるのは『理念ばっかり言って、実態がともなわない』という評価で、反対に左派から好まれるのは『やたら理念を言いたがるところが似ている』からではないか」。
そうした“本音派”と“建前派”で分かれる社会においては、「建前ばっかり言っているが、本当にその社会を実現できるのか」といった問いが生まれる。「『差別をなくそう』と理念ばかり言っても、人間に内在する本質的なものは解消しない。少しでも減らすための地道な努力に触れないで、『差別をなくせばいい』とスローガンばっかり言っているのが左派だというイメージが強い」としつつ、「左右とは違う新しい対立軸が起きている」と説いた。
実業家でTikTokerの岸谷蘭丸氏は「『もういいわ』『辞めるなら辞めれば』と、疲れている人がほとんどではないか。総理がコロコロ替わって、何をしても怒られる末期症状だ。こうしてメディアで『左が、右が』と言っているのも、『またなんか言ってるよ』と思われている。おなかいっぱいの胸焼け感で、なんでもいいとなっている人が大半だろう」と嘆いた。
(『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部
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