( 312993 ) 2025/08/03 06:54:50 0 00 1日のニューヨーク外国為替市場で円がドルに対して急騰した。米国の雇用が急減速した衝撃で、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が強まったことが背景にある。ただこの先、一方的に円高が進むことは考えにくい。石破茂政権の弱体化と国内政局の混迷で、海外投資家の「日本売り」圧力が依然強い状況にあるためだ。
午後5時現在は前日比3円39銭円高ドル安の1ドル=147円34~44銭。7月の雇用統計が想定を超えて悪化したことで、市場はFRBが9月会合で利下げすると急速に織り込み始めた。日米の金利差縮小で、金利低下が見込まれ運用上のうまみが薄れるドルを売って、円を買う動きが加速。円相場は約4カ月ぶりの水準だった前日の150円台から3円超も急伸した。
ただ、今回の「米雇用統計ショック」に、ここ最近の円安の流れを押し返すほどの力があるかは未知数だ。市場で円売りが始まったのは7月上旬、参院選の与党苦戦が伝えられ始めてから。エコノミストの豊島逸夫氏は「日本株や日本国債を保有する海外投資家が日本の政治の安定性が崩れつつあるとみて手じまい売りを始めた」と語る。
■FRB、日銀とも政策金利維持決定
7月末にはFRBと日銀がそろって政策金利の維持を決定。日米の金利差縮小が遠のいたとの見方から、円を売る流れに拍車がかかった。
日銀は米高関税政策の経済影響を見極める時間を必要としており、早期の利上げに対して慎重な姿勢だ。政治の流動化で景気を冷やす利上げに批判的な声が強まる可能性があり、日銀が手足を縛られるとの見方もある。
これらの事情から、当面は円高基調へと一気に傾くことは想定しづらいというわけだ。豊島氏も海外投資家の円売りはまだ続くとみており、1ドル=153~155円程度までの下落を予想する。
円安は輸入コストの上昇を通じ、物価高を助長する。政府も神経をとがらせており、加藤勝信財務相は1日の記者会見で「為替市場の動向を憂慮している」と述べた。(米沢文)
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