( 313251 )  2025/08/04 06:25:56  
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日本政府は、中国への依存が高いレアメタル「ガリウム」の供給を確保するため、日米企業と協力して豪州に生産設備を設け、日本に輸出する計画を進めている。

ガリウムは半導体の製造に必要な重要な鉱物であるが、中国の輸出管理強化により安定的な供給が難しくなっている。

2026年から生産を開始し、2028年には日本の輸入量をカバーすることを目指す。

また、日本はガリウムの約6割を中国から輸入しており、その依存度を減らす努力をしているが、中国との貿易摩擦も影響を及ぼしている。

政府は特定国に依存しない調達網の構築を進め、関連産業を支援する考えを示している。

(要約)

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 政府は、中国への依存度が高いレアメタル(希少金属)「ガリウム」の調達網の整備に乗り出す。日米の企業と連携して豪州に生産設備を設け、日本に輸出する。ガリウムは半導体などの生産に欠かせない重要鉱物だが、世界生産をほぼ独占する中国が輸出管理を強化し、安定調達が難しくなっている。独自の調達体制を構築し、経済安全保障の強化につなげる。 

 

 週明けにも発表する。 

 

 経済産業省所管のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と大手商社の双日、米アルミ大手アルコアが豪州に合弁会社を設立し、2026年から生産を始める。アルコアは豪州にアルミ原料の製錬所をすでに持つ。ガリウムはアルミの製錬過程で抽出できるため、合弁会社が新たな生産設備を整備する。28年には日本が中国から輸入する量に相当する年55トン以上の生産を目指す。 

 

 21年の日本のガリウム使用量167トンのうち、輸入は97トンに上る。調達先の多角化を進めているが、それでもなお約6割の55トンが中国からの輸入だった。 

 

経済産業省 

 

 中国が23年8月にガリウムの輸出管理を強化してからは、日本への輸出は8~9割減の10トン前後にとどまる。ガリウムを使う部品会社などはリサイクルや在庫によって何とか生産をつないでいるのが実態だ。 

 

 中国は輸出管理について「特定の国・地域を対象としたものではない」と説明しているが、日米欧が先端半導体分野で対中輸出を規制していることへの対抗措置とみられている。 

 

 米中貿易摩擦で先行きの不透明感も強まっている。 

 

 中国は25年4月、トランプ米政権が発動した「相互関税」への対抗措置の一環でレアアース(希土類)の輸出規制に踏み切った。米中両政府は7月下旬の閣僚級会議で関税発動や対抗措置の一時停止で一致したが、いつ対立が激化するか見通せない。 

 

 重要鉱物は製錬加工も含めて中国のシェア(占有率)が高く、経済安保上のリスクがつきまとう。政府は特定国に依存しない調達網の構築を加速させ、関連産業を支援していく考えだ。 

 

 ◆ガリウム=レアメタルの一種で、主にアルミ製錬の副産物として生産される。電気自動車(EV)に欠かせないパワー半導体やLED(発光ダイオード)、レーダーなど幅広い製品に使われる。リサイクルを除く世界生産の96%を占める中国の輸出管理強化により調達しにくくなっている。 

 

 

 
 

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