( 313413 )  2025/08/05 03:47:11  
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松本尚外務政務官(右)に要望書を手渡す埼玉県の大野元裕知事=4日夕、外務省(飯田耕司撮影) 

 

埼玉県の大野元裕知事は4日、外務省を訪れ、トルコ国籍者の短期滞在の査証(ビザ)免除の一時停止を求める岩屋毅外相宛ての要望書を松本尚政務官に手渡した。大野氏が同国ビザ免除停止を外務省へ要望するのは初めて。ビザ免除をめぐっては、同県川口市に集住する同国籍のクルド人らが就労目的でビザ免除の趣旨を逸脱した目的外利用を行っていると指摘されている。 

 

■外務政務官「協議中」 

 

要望書は「ビザ免除に基づき入国し、正当な理由を認められない中、難民申請を繰り返す外国人が滞在を継続し、犯罪行為を行う事例などにより住民に不安が広がっている」などと説明。 

 

昨年の難民申請者のうち「過去に難民申請したことがある者の国籍は、ビザ免除国であるトルコが最も多い」と指摘し、「日本国内での不安感を助長するだけでなく、相手国への不信感を招き、友好関係にも悪影響を及ぼす可能性がある」として、ビザ免除の一時停止を求めた。 

 

大野氏によると、松本氏は「よりよい方向に進むよう、さまざまなことを国も協議している」などと発言したという。 

 

県によると、知事宛に県民らからメールやファクスで治安悪化や移民政策など外国人問題について不安の声が寄せられているといい、令和5、6両年度で各約400件、今年度は5月末までの2カ月間で70件という。 

 

大野氏は面会後、「われわれの要望を真摯に受け止めていただいた。まずは国の対応を注視していく」と話した。 

 

■岩屋氏は「考えていない」 

 

外務省によると、日本は観光など短期滞在(90日以内)のビザ免除措置を73カ国・地域に実施、トルコとは昭和33年から相互免除が取り決められている。このため、同国籍者は航空券代さえ負担できれば、パスポート一つで来日し、難民申請して滞在を継続できる。 

 

出入国在留管理庁によると、昨年末時点で川口市に在留する同国籍者約2200人の約75%は難民申請中で、認められず申請を複数回行っている人も国籍別でトルコが最も多く全体の約46%を占める。大半はクルド人とみられている。 

 

ビザ免除は過去にイランなど3カ国で一時停止されているが、外務省は「免除はトルコとの友好関係に寄与する」として応じておらず、岩屋氏も国会で「直ちに停止することは考えていない」と繰り返し答弁している。 

 

 

 
 

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