( 313468 )  2025/08/05 04:49:13  
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石破茂首相(2025年7月撮影) 

 

 石破茂首相は4日の衆院予算委員会で、立憲民主党の野田佳彦代表から、戦後80年に合わせた何らかのメッセージを出すよう求められたのに対し「形式はともかくとして、風化を避けるため、戦争を2度と起こさないための発出は、私は必要と思っている」と明言した。 

 

 石破首相の戦後80年談話をめぐっては、退陣要求が拡大する自民党内で反発の声が強いとされ、70年談話は安倍晋三元首相が発表しており、保守派への配慮などから、文書での発出は見送る方針を固めたとする報道が出ている。 

 

 石破首相はこの日「50年談話、60年談話、70年談話を見てきたし、関わったこともあるが、そこにおける積み重ねは大事にしたい」とした上で「その上で何を言わねばならないのか、ディテールに至るまで(過去の談話を)読んで判断したい」とも語った。 

 

 立憲民主党の野田佳彦代表の質問に答えた。 

 

 野田氏は、参政党のさや(本名・塩入清香)参院議員の「核武装は安上がり」発言や、自民党の西田昌司参院議員のひめゆりの塔をめぐる心ない発言に触れながら「もう1回、過去の歴史に向き合うということをやらないといけないのではないか。私は10年刻みで談話を出すべきとは思っていなかったが、たまたまこの80年というのは、歴史を忘れた、風化しているかのような発言や行動が多すぎる」と指摘。「あえて、80年というのは、閣議決定の時間はないから談話は無理としても、何らかの総理のコメントは出すべきだと思う」と、石破首相によるメッセージの発出を求めた。 

 

 これに対し、石破首相は「風化ということがあってはならないが、時間の経過とともに(戦争の記憶が)薄れていくとすれば、能動的、積極的に風化しない努力は必要だと思っている。形式はともかくとして、風化を避けるため、戦争を2度と起こさないための発出というものは、私は必要と思っている」と明言し、過去の首相が発表した談話を詳細に読んだ上で判断する考えを示した。 

 

 

 

 さらに「政府として、日本国としてなすべきことは、2度と戦争を起こさないためにはどうするかということを、単なる思いの発出だけでなく、何を誤ったのかということ。それは歴史の評価とは別ものです」とした上で、安倍晋三元首相が発表した70年談話に「政治システムは歯止めたり得なかった」という表現があるとして「なぜ歯止めたり得なかったのかについて、きちんと考える必要がある」と持論を述べた。 

 

 「私どもの世代、我が国が今年世界に向けて何を発出するかということに、私自身の思いとして、強いものがある。いろんなご意見を踏まえながら、より良きを期していきたい」と述べ、メッセージの発出に強い意欲を示した。 

 

 これに対し野田氏は「帰らぬ人となった方々の犠牲の上に、この国は成り立っている。そのことに思いを致して、しっかりもう1回、思いを致すことは大事だと思う」とした上で「これこそ、総理の真骨頂だったのではないですか? ある意味、いちばんやりたかったことじゃないですか?」と問いかけ「自民党内政局的にはいろいろあるでしょうが、あるでしょうけれど、続投するんだったら、本人がやり遂げたいと思うことはやり遂げるべきだと思います!」と、苦境にある石破首相の背中を押すようなコメントも口にした。 

 

 

 
 

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