( 313538 )  2025/08/05 06:11:41  
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Bloomberg 

 

(ブルームバーグ): 4日朝の東京外国為替市場では円相場が上昇し、1ドル=147円台前半で推移している。前週末に一時150円台まで下落して約4カ月ぶりの安値を付けた後、米国の利下げ観測が強まり、日米の金利差縮小を意識したドル売り・円買いの流れが加速している。 

 

1日に発表された7月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、労働市場の減速を示唆した。市場では米金融当局が早ければ9月にも利下げするとの見方が広がり、ドルは主要通貨に対して下落。その後、トランプ米大統領が労働統計局長を解任したと伝わると、政策運営への不透明感が増して米国債利回りが低下し、日米の国債利回り差の縮小観測からドル売り・円買いが進んだ。 

 

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、夏場のリスクとして「米雇用統計後の円高という昨夏の展開再現への市場警戒が大きく高まることが予想され、目先はドル円・ユーロ円ともに下振れを警戒すべき」と指摘。労働統計局長の解任については「米統計への信頼感低下につながり得る」ため市場心理は悪化しやすく、ドル離れへの警戒が再浮上する可能性があるとした。 

 

米カールソン・キャピタルのポートフォリオマネジャー、デビッド・ファンドリッチ氏は「昨年の繰り返しにならなければいいがと思っている」と話す。「昨年はキャリートレードの巻き戻しで円が大きく上昇した。今年はトランプ関税という複雑な要因が加わり、乗り越えるのは容易ではない」と語り、株式を含め日本の相場全体がボラタイルな状況が続くとの見方を示した。 

 

7月は好調な米企業決算や経済指標を背景にドルが上昇。一方、円は日本銀行が政策金利を据え置いて緩和的なスタンスを維持する姿勢を示したことで売られた。しかし、今回の米雇用統計により市場の景色は一変。米金融政策の見通しが再び緩和方向に傾く中、ドル高・円安のトレンドに転換の兆しが見えつつある。 

 

8月は日本や欧米の夏期休暇で市場の流動性が低下し、値動きが荒くなる傾向がある。米国の経済指標や金融当局者の発言、さらにはトランプ大統領の動向に対する警戒感が強まり、円相場は不安定な動きが続く可能性がある。 

 

(c)2025 Bloomberg L.P. 

 

Issei Hazama, Momoka Yokoyama 

 

 

 
 

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