( 313578 ) 2025/08/05 06:54:09 0 00 衆院予算委員会で答弁する石破茂首相=4日午前、国会内(春名中撮影)
石破茂首相は4日の衆院予算委員会で、日米関税交渉を巡り、米側と合意に関する共同文書を作成しない考えを重ねて強調した。米側が自動車関税を引き下げる時期が見通せない中、「文書を作ることで引き下げが遅れるのを恐れている」と説明した。同時に、訪米してトランプ大統領と会談することも視野に、引き下げを働きかける姿勢を示した。
「(米側が合意を)拡大解釈して、日本はぼられ続けるのではないか」
立憲民主党の野田佳彦代表は日米間の合意文書がないことを問題視した。ただ、首相はトランプ氏を念頭に「相手は普通の人でなくルールを変える人。合意よりも実行が難しい」と説明し、文書作成より関税の具体的な引き下げを急ぐべきだと主張した。
もっとも首相には焦りもにじむ。交渉では自動車関税に関し、25%の追加関税を12・5%に下げ、既存税率と合わせ15%とすることで合意した。だが、米側は引き下げ時期を明らかにしていない。
首相は「(合意の実行に必要な)大統領令の発出に向け全力を注ぐべきだ」と語ったが、引き下げまで時間がかかる可能性がある。交渉担当の赤沢亮正経済再生担当相は、米国と英国との交渉に触れ、「合意後に大統領令が出るまで1カ月以上、実施まで2週間ほどかかった」と説明した。
また、国民民主党の玉木雄一郎代表は関税引き下げへ「首相とトランプ氏が(会談を)やって突破するしかない」と迫った。首相は「必要ならやるべきだ」と応じた。
合意を巡っては、日本による5500億ドル(約81兆円)の対米投資や米国産米の輸入拡大などで米側と認識にずれがあるとの指摘が相次いだ。
首相は合意に関する日本政府の認識をまとめた資料を作成する意向を示し、「それぞれの産業の関係者、国民に間違いなく言えることはきちんと示したい」として理解を求めた。(中村智隆)
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