( 314228 ) 2025/08/08 02:53:19 0 00 米国の関税措置に関する総合対策本部で発言する石破茂首相(左)。右は赤沢亮正経済再生担当相=首相官邸(松井英幸撮影)
トランプ米政権が7日に発動した新たな「相互関税」の税率を巡り、日米両政府の間で税率を「上乗せ」するかどうかで食い違いが生じた。日米関税交渉の合意については、対米投資などでも認識の齟齬(そご)が指摘される。日本側は関税の引き下げを急ぐためとして、米側との合意文書を作らなかった。それが裏目に出たとの見方が強まっている。
「日本は(欧州連合=EU=に適用された)特例の対象から外れている」
自民党の小野寺五典政調会長は7日、米政権の関税措置を巡る党の会合で、相互関税に関し、15%の税率が上乗せされたとの認識を示した。
日本側は米側との関税合意で、相互関税は税率をそのまま上乗せしない措置を勝ち取ったと主張している。日本政府はEUと同様、既存の税率が15%以上の品目には課されず、15%未満の品目は15%に引き上げるとの認識だ。小野寺氏は日本政府に対し、「一日も早く合意と同じ形で修正されるよう求めていく」と述べた。
日米の関税合意を巡ってはこのほか、日本による対米投資や米国産米の輸入拡大についても、両政府の間で認識に齟齬がある可能性を指摘する声が上がっている。
「トランプ米大統領が執務室を出た直後が勝負で、なぜその場で合意内容を詰めた基本合意書だけでも作成しなかったのか」
明星大の細川昌彦教授は、日米間で合意に関する文書を作らなかったことが、一連の混乱につながったと指摘する。野党も合意文書を作らなかったことに批判を強めている。
日本政府は関税の引き下げ実現が最優先として、作成に時間のかかる合意文書には否定的な考えを示してきた。
細川氏はこれを「的外れだ」と批判。「赤沢亮正経済再生担当相ら交渉団のミスで、石破茂政権の責任問題だ」と指弾した。(福田涼太郎)
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