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厚生労働省の調査によれば、2024年の18歳未満の子がいる母親の約8割が働いており、共働き世帯が主流になっています。

2004年から2024年にかけて、働く母の割合は56.7%から80.9%に増加しています。

また、専業主婦になりたいという女性は1998年から2024年の間で2〜3割の範囲で推移しており、希望や適性は多様です。

育児中の女性の労働参加が増えている一方で、家事や育児の負担を抱える人も多く、共働きでも理想的な生活にはまだ距離があることが示されています。

家事育児を支えるためのサービスや環境は進化していますが、さらなる改善が求められています。

(要約)

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metamorworks/shutterstock.com 

 

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、18歳未満の子がいる母の仕事状況をみると2024年は「仕事がある母」が約8割となっています(2025年7月4日公表)。 

 

同調査によれば働く母は2004年には56.7%でしたが、2024年には80.9%となり、現代では共働き世帯が主流へ。 

 

一昔前は専業主婦世帯が主流でしたが、博報堂生活総合研究所「生活定点」調査によると、「今後してみたいことは何ですか」という質問に対して「専業主婦になりたい」と思う女性は1998〜2024年の間基本的に約2〜3割と、一定水準で推移しています。 

 

希望や適性は人それぞれ。専業主婦を希望する人もいれば、パートタイムで働きたい人、フルタイムでキャリアを築きたい人、フリーランスが合っている人、起業が向いている人など多様です。 

 

十人十色の希望や適性がある中、育児中の女性で働く人が増えたことを考えると、昔に比べればさまざまな道を現代は選択しやすくなったでしょう。 

 

一方で、いまだ働き方をセーブしたり、仕事と家事育児の両立に疲弊する人も少なくありません。今回は専業主婦・共働きの割合や世帯別の夫婦の家事育児時間などをみていきましょう。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

まずは国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2024年)」を参考に、50歳時点の未婚・既婚の割合を確認しましょう。 

 

●50歳時の既婚・未婚の割合(2020年) 

 ・有配偶:男性64.75%・女性70.07% 

 ・未婚:男性28.25%・女性17.81% 

 ・死別:男性0.50%・女性1.49% 

 ・離別:男性6.50%・女性10.64% 

同資料によれば、既婚の人は男性で約65%、女性では約7割。 

 

推移をみると男性は1950〜1980年まで9割以上、女性は1980〜2005年まで8割以上が既婚でした。当時に比べると、現代では未婚を選ぶ人が増えています。 

 

ただやはり多いのは既婚の方であり、その中でもさまざまな生き方、働き方の希望があることでしょう。 

 

 

はじめに確認した通り、博報堂生活総合研究所「生活定点」調査によれば、「今後してみたいことは何ですか」という質問に対して、「専業主婦になりたい」と回答した方の割合の推移は以下のようになっています。 

 

●女性「専業主婦になりたい」と思う人の割合の推移 

 ・1998年:26.9% 

 ・2000年:30.5% 

 ・2002年:33.0% 

 ・2004年:38.6% 

 ・2006年:28.0% 

 ・2008年:28.9% 

 ・2010年:31.8% 

 ・2012年:27.5% 

 ・2014年:28.2% 

 ・2016年:28.4% 

 ・2018年:25.8% 

 ・2020年:28.1% 

 ・2022年:24.2% 

 ・2024年:20.0% 

上記によると、基本的に2〜3割台で推移しています。専業主婦となり家の中を整えたり、家族のサポートをしたりといったことを希望していたり、適性がある人もいるでしょう。 

 

次に厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」より、18歳未満の子がいる母に視点をあてて、「仕事あり・なし」の割合と内訳を2004年と2024年でみていきます。 

 

●【2004年→2024年】18歳未満の子がいる母の仕事と内訳 

 ・正規の職員・従業員:16.9%→34.1% 

 ・非正規の職員・従業員:26.2%→36.7% 

 ・その他:13.6%→10.1% 

 ・仕事なし:43.3%→19.1% 

最も増えたのは「正規の職員・従業員」。2024年で最も多いのは「非正規の職員・従業員」ですが、「正規の職員・従業員」との差は2.6%と小さいです。 

 

最も減少したのは「仕事なし」で、2024年は約2割でした。 

 

総務省「令和3年社会生活基本調査」を参考に、家事や育児にかける時間も世帯・夫婦別にみていきましょう。 

 

●専業主婦世帯 

 ・仕事:夫6時間50分/妻2分 

 ・家事:夫17分/妻4時間51分 

 ・育児:夫25分/妻1時間55分 

 ・介護・看病:夫2分/妻5分 

●共働き世帯 

 ・仕事:夫7時間12分/妻4時間4分 

 ・家事:夫24分/妻3時間15分 

 ・育児:夫20分/妻1時間4分 

 ・介護・看病:夫1分/妻4分 

共働き世帯では夫の働く時間が妻よりも約3時間8分多くなっています。一方で家事育児をみると女性の方が4時間15分多くなっています。 

 

 

昔に比べると働く母が増え、また男性で家事育児をする方も増えています。 

 

一方で男性の長時間労働が変わらなかったり、仕事と育児の両立に疲弊する人もおり、共働きが増えたもののその実態は「生活しやすい」「希望の生き方が選べる」という状態にはまだ遠いでしょう。 

 

時代が進むにつれ、便利家電や便利グッズ、食材の宅配サービス、男性の育休取得など家事育児の負担が減るモノやサービス、環境や制度は少しずつ整いつつあります。 

 

共働きで選択肢が増えたのはよいことですが、まだその選択や生活に改善の余地はあります。希望の生き方に向けて、新たにできるモノやサービス、制度などの情報収集は欠かさないでいきましょう。 

 

 ・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」 

 ・博報堂生活総合研究所「生活定点」調査 

 ・総務省「令和3年社会生活基本調査」表12-1、12-2 

 

宮野 茉莉子 

 

 

 
 

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