( 315538 ) 2025/08/12 06:14:31 0 00 夏のボーナス、総支給額は50万円! でも、手取りは35万円……なんでこんなに税金が引かれるの?
夏のボーナスが支給されてうれしい反面、明細書を見て、総支給額と手取り額の差が想像以上に大きくてビックリした人もいるのではないでしょうか。「税金が引かれる」とは理解しているものの、通常の給与とは引かれ方が違うようにも思えるのはなぜか、税金以外にも引かれているものはあるのか、などの疑問についてFPが解説します。
給与や賞与などの所得を得ると、あらかじめ国が定めた計算方法によって、その都度企業が徴収して国に所得税を納めます(源泉徴収)。
所得税は1月から12月までの1年間に支払われるすべての所得に対して毎年徴収され、所得税率は所得額に応じて変わるので、給与支払時に源泉徴収される所得税額は概算です。年末にすべての所得額が確定した段階で年末調整や確定申告で精算します。
一方、住民税は年末にすべての所得が確定した段階で、翌年の6月から会社員などは12回に分割して徴収されます。そのため、住民税は給与からは天引きされますが、賞与からは引かれません。
これに対して社会保険料は、原則は税引き前の賞与額(1000円未満切り捨て)に対してそれぞれ定率で源泉徴収されます。社会保険は以下の4つがあります。
●健康保険(保険料率は加入している健康保険組合などによって異なる) ●介護保険(40歳以上65歳未満の人、保険料率は健康保険組合などにより異なる) ●厚生年金保険(70歳未満の人、企業と折半後の保険料率は9.15%) ●雇用保険(労働者の保険料率は事業の種類により異なり、令和7年度における一般の事業は0.55%)
所得税や社会保険料は給与からも引かれますが、それぞれ用いる計算方法や基準が異なるため、実際に賞与から源泉徴収される税金や社会保険料の金額は給与からは推測しにくいこともあります。
賞与から源泉徴収される所得税額は、国税庁のホームページに掲載されている「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用います。社会保険料等控除後の前月の給与額と扶養家族の人数によって賞与から算出する割合(%)が異なります。会社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人は「乙」欄から計算します。
ここでは、前述の社会保険料率と「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に基づいて、ボーナス50万円をもらった場合の源泉徴収額を試算してみましょう。前提条件は以下とします。
●40代 ●会社の所在地は東京都 ●前月の給与(社会保険料を引いた金額):37万円 ●扶養家族は2人で「給与所得者の扶養控除等申告書」を会社に提出している ●全国健康保険協会に加入 ●保険料率は令和7年度のもの
まず社会保険料は表1のとおりです。
表1
表1
※筆者作成
次に所得税は社会保険料を引いた前月の給与に「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の算出率をかけます。本事例において、算出率は8.168%です。
表2
表2
※筆者作成
表1表2の社会保険料と所得税が源泉徴収されると、手取り賞与額は次のとおりです。
表3
表3
給与と賞与の源泉徴収額は、求め方が違います。転職直後などで「給与所得者の扶養控除等申告書」を会社へ提出していない人は、税額の計算表「乙」欄の高い算出率を用いるため手取りが少なくなりがちです。
ただし、1年間の所得が確定するまでは所得税額はすべて概算で、最終的には年末調整や確定申告で差額があれば精算されます。一方、社会保険料はその都度払いなので後日精算はありません。賞与で買い物をする際には、額面と手取り額の差に注意して使いすぎないようにしましょう。
出典 国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和7年分)
執筆者 : 岩永真理 一級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャルフィールド編集部
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