( 315703 )  2025/08/13 04:37:26  
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高市早苗氏 

 

 両院議員総会を経て石破茂首相(自民党総裁)の退陣は不可避と見られる中、総裁選をめぐる報道も過熱しつつある。有力候補として高市早苗前経済安保担当相の名があがるが、女性初の宰相に手をかけているかというとそういうこともなく、いばらの道を進んでいるようだ。 

 

「高市氏は何があっても総裁選に出馬すると見られていますが、自身をめぐる環境はなかなか厳しいものがあるようです」 

 

 と、政治部デスク。参議院選挙の開票前に出馬表明と見られる発言をした「フライング」の評判が芳しくないことについては、以前お伝えした通り(関連記事:「高市早苗」フライング不発で今回も「首相の座」に届かなさそうな決定的理由)。 

 

 しかし、もう少し深刻な問題もあるようだ。 

 

「夫である山本拓元衆院議員が2025年に入って脳梗塞で倒れ、その介護をする日々です。高市氏自身も体調が芳しくないようです。関節リウマチを発症し膝に爆弾を抱えていることは以前に自ら明らかにしており、状況は良くないようです」(同) 

 

 健康面での不安に加えて、かねてより指摘されるのが党内議員間での支持が広まっていない点だ。 

 

「去年の総裁選の決選投票で石破氏に負けて以降、党内に基盤を持たない高市氏は来たる総裁選に向けて計算できる集団を確保しようと動いていました。派閥として唯一残った麻生派がその1つです。派閥を率いる麻生太郎自民党最高顧問は求められれば拒まないタイプなのである程度の関係は構築できたと見られていますが、誰が総裁選に出ても高市氏支持で派内がまとまるかというとまったくそんなことはなさそうです」(同) 

 

 昨年の総裁選の1回目の投票で高市氏はトップを獲得した。党員30万人にリーフレットを配布したことが結果につながったと指摘する声は大きいようだ。 

 

「“高市早苗です。いつもご支援ありがとうございます。といったメッセージが自宅に届いてとてもうれしかった”といった反応はものすごく多かったようです」(同) 

 

 

 そういった反応は特に高齢者世帯に目立ったようだ。 

 

「自民党員に限りませんが高齢のため普段から“お便り”が届かないようなところも多いため、そういったメッセージはすごく“刺さった”そうです。地元選出の自民議員らがちゃんと目をかけてくれているから高市氏からのメッセージが届いたというとらえられ方もされたそうです。ただしこの配布自体がルール違反じゃないか、といった批判の声も当時、党内からあがっていました」(同) 

 

 総裁選の規則に逸脱しない限りメッセージを送ること自体は誰でもできることかもしれないが、高市氏は愚直に実行した。それが1回目の投票でトップを獲得できた要因の1つであることは間違いないのかもしれない。 

 

「来たる総裁選でも高市氏は“地方は強い”と言われています。今回も前回同様にリーフレット配布を想定しているかはわかりませんが、高市氏のほとんど唯一の強みだとされていますね」(同) 

 

 ただ、前回とは違って今回は総裁選をフルスペックでは行わない可能性が高く、「地方での強さ」という持ち味を十分に発揮できないとも言われている。 

 

「総裁選に誰が出てくるのか、何人くらい出てくるのかは不透明ですが、高市氏は出馬をするそうです。が、彼女を取り巻く環境は去年より悪くなっていると見てよいでしょう。夫婦で病を抱えており、不安がある点は同情すべきですし、弱点として攻撃されるものではないでしょう。しかしでは、首相として十分な活動ができるのかと言うと疑問符がつきまとうでしょう」(同) 

 

 高市氏なら自民から逃げた「岩盤保守層」を取り戻せるとの見方もあるが……。 

 

「そもそも岩盤保守というのが幻想ではないかという指摘もあります。この言葉がクローズアップされたのは第2次安倍政権以降に過ぎません。かりにそういう層がきちんと存在しているとして、その層をごっそり持って行ったと見られる参政党と高市氏ならうまくコミュニケートできるのか。楽観論もありますが、なかなかそう簡単ではないのではとの見方も根強くあります」(同) 

 

 高市氏は昨年の総裁選直後から誰よりも早く「石破おろし」のための布石を静かに打ってきたとされる。提示されたポストを拒否したのもその一環だというのが定説である。 

 

 しかし、そうした振る舞いそのものが自民党のまとまりのなさを示し続けていたとの指摘もある。また、今回の場合、自民党総裁イコール首相とは限らない。 

 

 数々のハードルを越えて、女性初の総理大臣になることはできるだろうか。 

 

デイリー新潮編集部 

 

新潮社 

 

 

 
 

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