( 315928 )  2025/08/14 03:41:05  
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小泉進次郎氏 

 

 参院選の敗北を受けた自民党の両院議員総会で石破茂首相(党総裁)は続投の意向を重ねて示した。総会では総裁選の前倒しの実施を求める意見が相次ぎ、総裁選管理委員会で詳細が検討されることになった。 

 

 ポスト石破の中で最有力とされるのが小泉進次郎農水相で、参院選の開票結果が出る前から出馬意向を示唆。“フライング”などとニックネームをつけられた高市早苗前経済安保相をリードしているという。 

 

「8日の総会前には、“そこで石破氏が退陣をほのめかすことがなければ本格的な倒閣運動に発展する。そうしなければ秋の臨時国会で内閣不信任案が提出されて可決した場合、石破氏が総辞職ではなく解散を選択する可能性があり、それは絶対に避けたいからだ”といった見立てがありました。石破氏は続投の意向を表明しましたが、一方で総裁選の前倒しが18日の週以降に検討されることになり少し猶予ができた格好です。“このままではお盆に地元に帰れない”と焦っていた議員らもいましたが、彼らも少しは戻れるんじゃないでしょうか」 

 

 と、政治部デスク。 

 

 総会の開催前から石破氏の退陣と総裁選は不可避と見られていた。総裁選前倒しの詳細はまだ見通せないが、「ポスト石破」の有力候補の1人とされるのが小泉進次郎農水相だ。 

 

「小泉氏よりも、高市早苗前経済安保相のほうが自民が失ったとされる保守層からの票を参政党などから奪回できるなどといった指摘もあります(関連記事:「高市早苗」フライング不発で今回も「首相の座」に届かなさそうな決定的理由)。確かにそういった側面はありますが、そもそも参政党にはれいわや社民、共産からすらも票が流れてきています。単純に参政党から奪えば良いという話ではないと見ています。一方で小泉氏は無派閥を貫いてきたので、自民がその影響を払拭できずにいる裏金問題や派閥政治と距離を置いてきた人物としてアピールできます。トップを代えたからといって体質改善を図れるのかといった異議申し立てはあるとしても、そのアピールは強く、現時点でポスト石破の最有力候補と言ってよいでしょう」(同) 

 

 

 6日と8日には麻生太郎最高顧問、岸田文雄前首相と相次いで会談した。 

 

「麻生、岸田の両氏や小泉氏と近い菅義偉元首相といった首相経験者はいずれも石破氏の続投を“是”としていません。そのあたりも踏まえ、小泉氏とは突っ込んだ話し合いを行ったと見られています」(同) 

 

 仮に麻生派や旧岸田派が小泉氏を支援するとなると、「派閥政治を引きずっている」との批判が聞こえてきそうな気もするが……。 

 

「メディアはいじわるな見方をすることのほうが多いので、そういう報じられ方もあるとは思いますが、小泉氏は無派閥なので総主流派体制を演出でき、悪いほうの影響は軽微ではないかと見ています」(同) 

 

 派閥の力がなければ有力候補たりえないが、一方で派閥の影響がストレートに見えても有力候補たりえない。この矛盾した状況は、昨年の総裁選時とまったく変わっていない。 

 

 ところで、その状況を作り出した最大の要因、裏金問題の温床として依然として批判を浴びている旧安倍派の動きはどうなっているのだろうか。 

 

「旧安倍派のメンバーの中から誰かを担ぎだすということはなさそうです。石破政権下では非主流派だったので、次の総裁のもとで旧安倍派は主流派への復帰を目指していると目されてはいます。が、あれこれ主張したほうが良いのか、世の中の反応を見てもう少し黙っていたほうがいいのか、メンバー外の誰かを推すにしてもまとまって動いたほうが良いのか否かも含めて、まだ判断はつきかねるのではないでしょうか」(同) 

 

 小泉氏に話を戻すと、昨年の総裁選の初期段階では「最有力」との評価もあったが、徐々に失速。ふたを開ければ「議員票1位、党員票3位」で高市氏、石破氏の後塵を拝し、決選投票に進むことはできなかった。 

 

 抜群の知名度で党員票でもトップを獲得すると見られていたが、政策が党員にうまくハマらなかった、スピーチその他が空疎だとの見方もあった。 

 

 しかしそこからいかなる研鑽を積んだか、あるいは単なる幸運かは不明ではあるが、「令和のコメ騒動」を受けて農水相に抜擢されて見せた実行力とアピール力が一般にも評価されたのもまた事実。9日からのAPEC出席のための訪韓でも、韓国外相と異例の会談を行い、日本産水産物の輸入規制撤廃を求めるなど、一定の存在感を示したばかりだ。 

 

 実際に出馬して昨年の雪辱を果たせるだろうか。 

 

デイリー新潮編集部 

 

新潮社 

 

 

 
 

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