( 316003 )  2025/08/14 05:10:06  
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インタビューに応じるシャトレーゼの古屋勇治社長=甲府市(平尾孝撮影) 

 

休業手当の不払い、違法残業疑いなどの不祥事が今年、相次いで発覚した和洋菓子大手のシャトレーゼ(甲府市)の古屋勇治社長が産経新聞のインタビューに応じた。会社の急成長でコンプライアンスがおろそかになっていたとの認識を示したうえで、新規出店を大幅に削減する「成長を止める戦略」を進めていくとした。 

 

古屋氏は一連の不祥事について「重く受け止めている。これまで支持してくれた全てのステークホルダーに心配をかけた。深くおわびしたい」と改めて陳謝した上で「急成長してきた中で、会社がバランスを崩した」と語った。 

 

2014年度に430億円だった売上高が、23年度には約3倍の1313億円に達し、店舗数も2・2倍に増えた。新型コロナウイルス禍でも、自治体の休業要請などの対象外だった郊外の店舗が多かったため営業を継続。存在感を強め、業績拡大につながった。 

 

古屋氏はこうした急成長の中で「会社の基盤がついていかなかった」と反省し、コンプライアンスが不十分になっていたとの認識を示した。「社会的責任をしっかり果たしていく企業」にしていくためには成長を止める戦略が必要とした。 

 

新規出店は不祥事発覚前から準備していた店に絞り、今年度の前半は30店舗程度で、後半はほとんどない予定だ。「新規出店の話があっても凍結している」と語る 

 

■労働安全推進部が発足 

 

組織的にも既存の品質保証部に加え、労働安全推進部を新たに発足させ、全社的に安全、品質、コンプライアンスをチェックする態勢に拡充した。社内のコンプライアンス教育も改めるほか、弁護士に入ってもらっての年2回の点検作業を実施し、コンサルタントに改革への評価を求めていく。 

 

成長をとめ、こうした基盤強化に注力する期間は「少なくとも2年間とみているが、期限は切らない」と語る。顧客の需要に対する供給力不足に陥る可能性は高いが、基盤強化を優先する中では「量が少なくなることもあり得る」と理解を求めた。 

 

シャトレーゼを巡っては3月、製造委託した包装資材などを正当な理由なく受け取らなかったのは下請法違反に当たるとして、公正取引委員会が製品の受け取りと、委託先への保管・運送代金の支払いを勧告。 

 

5月には出入国在留管理庁が特定技能制度で雇用していた外国人に休業手当を支払わなかったとして改善命令を出したほか、甲府労働基準監督署が違法な時間外労働をさせたとして労働基準法違反の疑いで書類送検した。(平尾孝) 

 

 

 
 

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