( 316333 )  2025/08/15 06:31:57  
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住宅ローンを組む際に頭金を多く用意できれば、返済額が減らせて毎月の負担が軽くなる。 

 

住宅の購入価格に対する借入金額の割合のことを融資率※1というが、融資率が低いと借入金利にも有利に働く。住宅ローンの借入金利や条件に影響する融資率は住宅購入の際に重視される項目の一つであり、例えばフラット35※2では融資率が90%を超えると金利が高くなる傾向にある。住宅ローンを借り入れている人の融資率はどのくらいが主流なのだろうか。 

 

※1融資額÷住宅価格 

※2民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローン 

 

融資率 

 

住宅金融支援機構が行った25年4月の最新調査における融資率を見ると、「90%超~100%以下」が26.5%と最も多くなっている。つまり、住宅購入価格のほぼ全額を住宅ローンで借り入れる人が4分の1以上を占めていることが分かる。 

 

さらに注目すべきは住宅購入価格を超える融資を受けているケースである「100%超」の融資率の推移だ。2022年4月調査では11.4%だったが、2025年4月調査では13.5%に増加している。これは自己資金の用意なく住宅ローンを借り入れていることになり、住宅購入時の諸費用(登記費用、仲介手数料など)も含めた借入れが増えている可能性がうかがえる。 

 

融資率90%超(「90%超~100%以下」と「100%超」の合計)の借り入れは今回(25年4月)の調査では全体の40.0%を占めている。3年前(22年4月)の調査でも41.1%、その間も同水準を保っており、頭金をあまり用意せずに住宅を購入するケースが一定の割合で推移していることが分かる。 

 

一方で、「50%以下」の低融資率(頭金を多く用意しているケース)は22年4月調査の11.5%から25年4月調査では17.3%と上昇している。 

 

中間的な融資率である「60%超~70%以下」「70%超~80%以下」「80%超~90%以下」の各区分は、いずれも緩やかな減少傾向にある。これは借入れ比率の二極化、中でも高融資率側への偏りが進んでいることを示唆している。 

 

 

これらのデータから金利上昇期に入りつつある今日の住宅ローン市場の実態が見えてくる。借入金利は「年0.5%超~年1.0%以下」と比較的低利率が主流となっているものの、超低金利(年0.5%以下)での借入れは徐々に難しくなってきている。今後、住宅の購入を検討している人は以下の点を考慮するとよいだろう。 

 

1. 金利は上昇傾向にあるため、借入れのタイミングが重要になってきている 

 

2. 融資率が高い(頭金が少ない)借入れが主流になっているが、金利上昇環境では返済負担が増すリスクがある 

 

3. 「100%超」の融資を受けるケースも増えているが、慎重な姿勢が求められ、諸費用も含めた総合的な資金計画を重視したい  

 

金利上昇局面では、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかという判断が今まで以上に重要となってくる。また融資率が高い場合は、返済計画をより慎重に立てる必要がある。特に「100%超」の融資率は、住宅の資産価値が下落した場合にいわゆる「オーバーローン状態」(借入残高が資産価値を上回る状態)が継続するようなリスクもあることを考慮すべきだ。 

 

多くの人にとって住宅ローンは人生で最も大きな借入れだろう。それだけに最新の動向を踏まえつつ、自身の家計状況に合わせた無理のない計画を立てて借り入れること、そして返済を継続することが重要だ。 

 

Finasee編集部 

 

 

 
 

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