( 316568 )  2025/08/16 06:00:30  
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総務省統計局の家計調査報告によると、65歳以上のシニア2人以上世帯のうち貯蓄4000万円以上を保有している世帯は全体の約20%以上いると記載されています。 

 

これは約8割の世帯が貯蓄4000万円以下で老後を迎えているという現実を示しているとも考えられ、そのなかには限られた年金収入と貯蓄で生活している方も含まれているでしょう。 

 

この記事では、65歳以上のシニア世帯はどのくらいの貯蓄を保有しているのかを中心に解説していきます。併せて、年金の平均月額などについても紹介するので、現時点でどれくらい年金を貰えるのか気になる方はぜひ参考にしてみてください。 

 

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前述した総務省統計局の家計調査報告をもとに、2人以上のシニア世帯がどれくらいの貯蓄を保有しているのか確認していきましょう。 

 

資料に添付されているグラフには貯蓄保有世帯の中央値が1658万円、平均値は2509万円と記載されています。また、金額別の割合は以下の通りです。 

 

 ・100万円未満:8.1% 

 ・100万円以上〜200万円未満:3.6% 

 ・200万円以上〜300万円未満:3.1% 

 ・300万円以上〜400万円未満:3.6% 

 ・400万円以上〜500万円未満:3.3% 

 ・500万円以上〜600万円未満:3.3% 

 ・600万円以上〜700万円未満:2.9% 

 ・700万円以上〜800万円未満:2.8% 

 ・800万円以上〜900万円未満:3.3% 

 ・900万円以上〜1000万円未満:2.5% 

 ・1000万円以上〜1200万円未満:4.8% 

 ・1200万円以上〜1400万円未満:4.6% 

 ・1400万円以上〜1600万円未満:5.1% 

 ・1600万円以上〜1800万円未満:3.3% 

 ・1800万円以上〜2000万円未満:3.3% 

 ・2000万円以上〜2500万円未満:7.4% 

 ・2500万円以上〜3000万円未満:5.8% 

 ・3000万円以上〜4000万円未満:9.4% 

 ・4000万円以上:20.0% 

より実態に近い数値であると考えられる中央値の金額は1658万円であるものの、貯蓄500万円未満の割合は全体の約22%を占めています。一方で貯蓄2000万円以上の世帯は全体の約42%を占めており、このグラフから65歳以上のシニア世帯で貯蓄状況が二極化していると考えられます。 

 

一定の貯蓄額を保有しているシニア世帯は年金を受け取りながら、貯蓄を徐々に切り崩すことで比較的安心した老後生活を送ることができるかもしれません。しかし、貯蓄額が少ない世帯では家計をやりくりすることが困難なケースも考えられるでしょう。 

 

そこで次章では、シニア世帯の実態をイメージするために1ヶ月の家計収支を確認していきます。 

 

 

前章と同じく、総務省統計局が公表している家計調査報告をもとに65歳以上のシニア世帯がどのような収支で生活しているのか見ていきます。具体的な項目や金額については以下の通りです。 

 

 ・実収入:25万2818円 

 ・可処分所得:22万2462円 

 ・消費支出:25万6521円 

このモデルケースの場合では、毎月3万4058円の家計赤字が発生しているため、貯蓄の取り崩しなどで賄う必要があります。もし貯蓄額が限られており、社会保障給付といった収入だけで家計をやりくりするなら、教養娯楽や交際費といった必須ではない支出を見直すことで家計赤字を回避可能です。 

 

ただし、ほかの支出も見直したり収入源を増やしたりしない場合は、引き続きギリギリの収支で生活しなければなりません。また、モデルケースの実収入の社会保障給付25万2818円が主に厚生年金によるものだと想定すると、国民年金しか納めていない世帯ではモデルケースよりも少ない収入で老後生活を送る準備をしておく必要があると予想されます。 

 

そこで次章では、厚生年金と国民年金の平均月額を紹介していきます。 

 

厚生年金と国民年金には、どれくらいの金額差があるのでしょうか。まずは、それぞれの平均月額を確認していきます。 

 

●厚生年金の平均月額 

 ・平均年金月額:14万6429円 

 ・男性の平均年金月額:16万6606円 

 ・女性の平均年金月額:10万7200円 

●国民年金の平均月額 

 ・平均年金月額:5万7584円 

 ・男性の平均年金月額:5万9965円 

 ・女性の平均年金月額:5万5777円 

厚生年金の平均年金月額は14万6429円、国民年金は5万7584円でした。両者の差額を単純に計算すると8万8845円と受け取る金額に大きな開きがあると確認できます。 

 

もし国民年金のみの収入かつ少ない貯蓄額で老後を過ごす場合は、前章で紹介したモデルケースのような消費支出で老後を過ごすのは難しいといえるでしょう。そのため、自営業者などの国民年金第1号被保険者は、老後に備えてiDeCo(個人型確定拠出年金)といった年金制度を活用するか、現役のうちにまとまった金額の貯蓄・資産を築くことが不可欠であると考えられます。 

 

 

今回は、65歳以上のシニア世帯の貯蓄額をメインに解説しました。貯蓄4000万円以上を保有する世帯が約20%いる一方で、貯蓄500万円未満の割合が全体の約22%を占めていることも確認できました。 

 

安心した老後生活を送るうえで必要な貯蓄額は世帯によって異なりますが、将来を見据えてコツコツと貯蓄や資産形成を行うことが重要です。具体的に何をすればよいのか、わからない場合はお金のプロに相談するのも選択肢のひとつです。 

 

少しでも豊かな老後を過ごすために、現役時からしっかりと準備を備えておきましょう。 

 

 ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」 

 ・総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」 

 ・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 

 ・厚生労働省「iDeCoの概要」 

 

湯田 浩平 

 

 

 
 

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