( 316708 ) 2025/08/17 02:54:24 0 00 専業主婦のリアル
家事などの主婦業や育児に専念する「専業主婦」。それに対し、「働かないでいいからラクでいいよね」「お金を稼がず生産性がない」「これだけ女性が社会進出しているのに、なぜ専業主婦をしているの?」とネットでは、“専業主婦論争”が巻き起こっている。
あすかさん(35)は、仕事と家事の両立に限界を感じ、2年前に専業主婦を選んだ。しかし、「専業主婦は直接的な稼ぎには繋がらない。収入がないことがダメな人みたいな。家事だけやってて、ご飯食べてて申し訳ない」と感じている。
自らの意思で選択する人がいれば、やむを得ず主婦を選ぶ人もいる。専業主婦歴7年のみえさん(37)は「希望しておらず、しょうがなくやっているので、ずっとストレス」と話す。産まれてきた子どもに病気が見つかり「働く選択肢はなかった」という。「自分を見失う日々が続いている。選択肢がないことが一番苦しい」。
かつては多数派だった「専業主婦」も、今や全体の3割を切っている。社会の変化と共に、消えゆく存在となるのか。『ABEMA Prime』では、専業主婦の当事者と考えた。
あすかさん
あすかさんは、2019年の結婚当初、「正社員、フルタイムで週5日働いていた」といい、「平日は仕事、最低限の家事、寝る準備で1日が終わっていく。それが週5日で、土日休み。週末は平日できなかった家事や雑用、翌週の仕事に向けた準備をしていた。食事も手間暇かけられないので、作り置きを仕込んでおく。そういったことに時間が取られて、心からリフレッシュ、休んだためしがなかった」と振り返る。
その結果、「どんどん疲れていき、ストレスが溜まって、夫婦喧嘩も増えて、家の空気が悪くなった。何のために結婚したのかわからない家になってしまい、挙げ句の果てには私自身も体調を崩してしまった。それでリセットの意味を持たせたくて、仕事から一旦身を引いて、(2023年に)専業主婦の道を選択した」。
しかし、いざ専業主婦をやっていく中で、「肩身が狭い」と感じている。「例えば、美容院で髪のカラーリングしてもらうとき、「この髪色は会社的に大丈夫?」と聞かれる。そのときに「専業主婦だから大丈夫です」って言えばいいが、質問する側は、私が外でお金に繋がる仕事をしている前提で質問を投げかけているので、言いづらい。空気読みすぎなのかもしれないが、無駄に肩身が狭い。『外で働いてないとダメなのかな?』と思う」。
みえさん
みえさんは、2018年、娘に病気があり専業主婦を選択した。専業主婦を7年続けているが、「働きたいと常々思っている。繋がりが欲しいし、社会に認められたい気持ちもずっと持っている」と話す。
専業主婦に対してのネガティブな声については、「最初はすごい悲しい気持ちで傷ついていたが、それぞれの環境があって、当事者にしかわからない辛さがあるので、今はあまり気にしないようにしている。専業主婦とワーママ、どちらの大変さも絶対あるので、それを良いか悪いかって決められるのは嫌だと思う」。
しかし叶うならば、「外に出て、人と関わるような仕事がしたい」といい、「色々調べて、どんな働き方ができるのか。いつからできるのか。そういうことを考えながら、いつも過ごしている」と明かした。
岡田玖美子氏
1980年では、専業主婦世帯が1114万、共働き世帯が614万だったが、2024年には、専業主婦世帯が508万、共働き世帯が1300万となっている。この背景に、奈良女子大学講師で家族社会学を専門としている岡田玖美子氏は、「女性の高学歴化、雇用機会均等法などジェンダー平等が進んだ」ことを挙げ、「90年代はバブル崩壊やリストラ・非正規雇用が進み、夫の収入だけで妻子を養うのが難しく女性が働かざるを得ない」状況になったと考えている。
また、岡田氏は「専業主婦が当たり前の社会」を問題視し、「今の日本の社会は、1950年代の高度経済成長期から、基本的には専業主婦の妻が家事、育児を全部やり、夫が会社に捧げるような働き方をしてきた。そうした中で、女性も社会進出するようになるが、今まで専業主婦がやってくれていた家事や育児、介護を誰がやるのか。それは誰でもできると思われてる部分でもあるが、本当はすごく大変だし、それがないと人は生きていけない。だから、そうした部分の仕組みから社会を変えて、みんなが分担しながら、必要に応じて柔軟な働き方、生活の仕方ができるようになっていくべきだと思っている」と訴えた。
今後、どんな社会になってほしいか。みえさんは、「専業主婦でも幸せ、働いてても幸せって言えるような世の中になってほしい。母親として、子供にそういう背中を見せたい」と願う。あすかさんは、「やっぱり選択できる社会だ。専業主婦になろうと、外で働こうと、どちらでも気持ちよく楽しく暮らせるような、選べる社会になったら1番嬉しい」と答えた。
(『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部
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