( 317123 )  2025/08/18 06:04:59  
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夏のボーナスが支給された方は、使い道をどうするか決めていますか。 

 

お子さんの学費や、ご自身の老後資金のために貯蓄するという方もいるでしょう。 

 

また、なかには資産運用を検討されている方もいるかもしれません。 

 

長らく続く物価高で家計に負担が生じやすくなっている一方で、日本では富裕層が増加傾向にあるようです。 

 

この記事では、日本に「純金融資産1億円以上」の富裕層はどのくらい存在するのか解説します。 

 

また《高額所得者層》の「購買行動」に変化はあったのかもご紹介しますので、ぜひ参考にご覧ください。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

まずは、野村総合研究所が公表しているデータをもとに、富裕層の定義や区分について確認しておきましょう。 

 

「富裕層」とは具体的にどのような基準で区分されているのでしょうか。 

 

野村総合研究所のデータによると、富裕層は「純金融資産が1億円以上の世帯」と定義されており、その中でも「純金融資産が5億円を超える世帯」は「超富裕層」として別カテゴリーに分類されています。 

 

上記資料より、日本国内には、純金融資産が1億円以上の世帯(超富裕層を含む)が約165万3000世帯存在するとされています。 

 

 ・超富裕層(5億円以上):11万8000世帯/135兆円 

 ・富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯/334兆円 

 ・準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯/333兆円 

 ・アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯/282兆円 

 ・マス層(3000万円未満):4424万7000世帯/711兆円 

 

「給料の伸びが鈍化し、物価上昇で生活が厳しくなっている」と感じる人が多い一方で、なぜ富裕層の世帯数は増加し続けているのでしょうか。 

 

「富裕層および超富裕層」の総資産額の推移は、以下のとおりです。 

 

 ・2005年:86万5000世帯・213兆円 

 ・2007年:90万3000世帯・254兆円 

 ・2009年:84万5000世帯・195兆円 

 ・2011年:81万世帯・188兆円 

 ・2013年:100万7000世帯・241兆円 

 ・2015年:121万7000世帯・272兆円 

 ・2017年:126万7000世帯・299兆円 

 ・2019年:132万7000世帯・333兆円 

 ・2021年:148万5000世帯・364兆円 

 ・2023年:165万3000世帯・469兆円 

データからもわかるように、日本では富裕層の数が長期的に増加傾向にあります。 

 

では、なぜこれほどまでに富裕層が増えているのでしょうか。 

 

その背景には、主に以下の3つの理由が挙げられます。 

 

●理由1:経済成長と資産形成の機会が増えた 

2005年以降、日本経済は緩やかではあるものの着実に成長を続けており、この経済成長に伴い、資産形成の機会も広がってきました。 

 

特に、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度が整備されたことで、個人が投資を通じて資産を増やしやすい環境が整っています。 

 

こうした制度を早期から活用し運用を開始した人の中には、大きなリターンを得ているケースも見受けられます。 

 

●理由2:株価の上昇 

アベノミクスの影響で円安が進み、株価が上昇した時期があり、その間に株式などの金融資産に投資していた人たちは大きな利益を享受できました。 

 

特に、多額の資産を運用していた富裕層は、この相場の好影響を一層強く受けることとなりました。 

 

●理由3:相続や贈与の影響 

富裕層の中には、相続や贈与を通じてまとまった資産を受け継いだ人も多くいます。 

 

日本の高齢化が進む中で、親や祖父母から財産を引き継ぐケースが増加しており、これが富裕層の増加の一因となっています。 

 

こうした状況から、自らの意思とは別に富裕層に加わる人も一定数存在しているのです。 

 

 

経営コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、「年収3000万円以上、かつ年間で1000万円以上を消費している」日本の消費者約300人を対象に調査を実施しています。 

 

調査の概要は以下のとおりです。 

 

《調査概要》 

 

 ・年収3000万円以上、かつ税金や投資を除く日常生活や娯楽の年間消費・支出額が1000万円以上の消費者が対象 

 ・実施時期:2024年10月 

 ・回答者数:290人 

 ・リリース公開日:2025年5月22日 

物価が上昇し続ける中、多くの一般消費者は支出を抑える傾向がありますが、高所得層の購買行動には大きな変化が見られていません。 

 

実際、「物価高の影響で消費を控えた」と答えた一般層は約80%に達したのに対し、高所得層ではその割合が約20%に留まっています。 

 

さらに、「価格が高くても納得できる価値があれば購入する」と答えた人は、一般層が20%だったのに対し、高所得層は80%と大きく異なる結果となっています。 

 

●高所得者層はモノより「体験」にお金をかける傾向にある 

さらに、同社がマクロミルの家計パネル調査「MHS」を用いて分析した結果、年間消費額が1000万円以上の層は一般層の約4倍の実支出をしていることが明らかになりました。 

 

特に、エンターテインメントや旅行、趣味などの「体験型」支出は約9倍に達しており、物質的な所有よりも体験に価値を置く傾向が顕著です。 

 

また、ブランド品の購入に関しては、6割以上の高額消費者が「一度気に入ったブランドを継続して検討・購入する」と答えており、「新しいブランドや店舗を頻繁に試す」と回答した人はわずか5%程度にとどまっています。 

 

これらの結果から、高額消費者は自分に合った価値を重視し、それを長く愛用する傾向があることがうかがえます。 

 

本記事では、「富裕層」の実態について解説してきました。 

 

筆者は元銀行員なのですが、富裕層の方は将来に向けて資産運用を取り入れている方が多かったと記憶しています。 

 

少しでも効率的な資産形成を目指すために、資産運用は必要不可欠な時代になっています。 

 

ただし、資産運用は利益が期待できるだけではありません。価格変動リスクなどが伴います。 

 

しっかりとリスクや特徴を抑えたうえで、資産運用を取り入れるのかどうかを判断していきましょう。 

 

 ・株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」 

 ・PRTIMES「【BCG調査】日本の高額消費者(年間消費額1,000万円以上)の購買行動に着目した調査・分析を実施」 

 

神田 翔平 

 

 

 
 

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