( 317573 )  2025/08/20 04:55:43  
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SNS「X」「TikTok」「Instagram」のロゴ 

 

 7月の参院選期間中、X(旧ツイッター)上で「陰謀論」という単語を含んだ投稿が1日平均4・5万件に上り、選挙前と比べて倍増していたことが読売新聞の分析でわかった。参政党の主張や、外国勢力による選挙介入の疑惑を巡り使われるケースが多かった。専門家は、検証困難な言説の拡散が背景にあるとし、「陰謀論の応酬が加速すれば社会の分断が進みかねない」と指摘する。 

 

 陰謀論は、闇の勢力や秘密組織が政府やメディアなどを操作し、政治や経済を支配しているとする説。SNS上では、自身の主張と合わない意見などを否定する際に使われるケースも目立つ。 

 

 読売新聞は米メルトウォーターの分析ツールを使い、昨年6月~今年7月の間の「陰謀論」を含む全投稿(リポストを含む)を抽出、分析した。東京都知事選や衆院選、兵庫県知事選があった昨年は1日平均1・5万件だったが、今年は同2万件超に増加。参院選期間中(7月3~19日)は同4・5万件に急増した。 

 

 参院選前半には、参政党の神谷宗幣代表が「ユダヤ系国際金融資本が世界を支配」「(多国籍企業が)パンデミックを引き起こしたことも噂(うわさ)されている」などと主張していたことを取り上げ、「陰謀論だ」と指摘する投稿が相次いだ。同党党員が「まだ陰謀論とか言っている」などと反論する投稿も拡散した。一方、リベラルによる反原発などの主張を陰謀論と位置づける投稿もあった。 

 

 終盤には、外国勢力による選挙介入の疑いを指摘する個人のブログを巡り、投稿が増加した。ブログは、石破政権を批判する日本語の投稿をロシアが拡散しており、結果的に参政党などに支持が集まると主張する内容で、与野党が調査の必要性を訴えると、神谷氏が「『参政党の躍進の裏にはロシアの工作がある』という、まさに陰謀論が出てきた」と投稿。この投稿は約1・4万回拡散された。 

 

 今年は、1月に発足した米トランプ政権に絡んだ投稿も目立つ。海外でも、陰謀論に言及した英語の投稿が増えているとの調査結果が報告されている。 

 

 陰謀論に関する著書がある大阪経済大の秦正樹准教授(政治心理学)は、「多くの投稿は『陰謀論だ』と警鐘を鳴らすものだが、真偽不明な言説が広まっている証左でもある。政治家も選挙中、未確定の言説を都合よく利用する節があった。『投票内容が書き換えられる』などの不正選挙を訴える投稿も増えた印象で、民主主義を揺るがしかねない危険な状態だ」と話す。 

 

 

 
 

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