( 317638 ) 2025/08/20 06:11:41 0 00 MBSニュース
記録的な猛暑が続く今年の夏。その影響は“食卓”にも。市場では猛暑による不作から野菜や肉などの値段が上がる「猛暑インフレ」が発生しているのです。専門家によりますと、家計への負担は4人家族の場合、食費や光熱費を合わせてひと月最大2万5000円も増えるといいます。
この猛暑はいつまで続くのか、前田智宏気象予報士が解説。また、夏の家計を直撃する“猛暑インフレ”について第一生命経済研究所・柏村祐主席研究員に聞きました。
お盆が明けてもまだまだ猛暑は終わりません。気象庁が発表している平均気温の1ヶ月予報を見ても、8月下旬、9月上旬も日本全国で平年より高い見通しとなっています。
近畿地方でも平年よりも気温の高い状態が9月中旬くらいまでは続く見通しとなっていて“猛烈残暑”はしばらく続きそうです。
猛暑の影響は身体だけではありません。この暑さで農作物が不作になり家計の負担が増える“猛暑インフレ”が起きています。
大阪府内にあるスーパー「フレッシュマーケットアオイ八尾山本駅前南店」では、トマトの価格は例年比べて上がっていませんが、暑さの影響で商品の入荷数は減っています。
葉物野菜も全体を通して価格は上がっていて、物によっては2~3割価格が上昇していてトマト同様に入荷数も減っているということです。
野菜のほかにも卵や豚肉なども例年に比べて2~3割価格が上昇しています。
また、値上げが一番大きいのは「コメ」です。フレッシュマーケットアオイ八尾山本駅前南店の高橋秀光店長によりますと、コメの販売価格(5kg)は去年、3058円(税込み)だったのに今年は4849円(税込み)1800円ほど上がっています。
理由としては生産コストや輸送コストなどもありますが、夏の猛暑が一番影響していると考えられます。
こちらのスーパーでは節電、節水、食品ロス削減などを行い、値上げをできるだけ抑える努力を行っています。
猛暑が物価の高騰に結びつくのか。第一生命経済研究所・柏村祐主席研究員は、今年の猛暑は去年、2年前に比べて“異次元の暑さ”となっていて、この暑さによってさまざまな農作物の生産の出来に反映することが懸念されているため価格の高騰が見込まれていると指摘しています。
実際に猛暑が価格にどの影響しているのか見てみると、▽トマト19%、▽ニンジン17%、▽タマネギ6%、8月4日の週と比べて上昇しています。
また、JA全農の卵の価格はMサイズも46%アップ。ほかにも干ばつの影響でブラジル産のコーヒーが55%、熱波の影響でアフリカ産のカカオに関しては280%も上昇しています。
柏村主席研究員がことし7月時点で発表した猛暑インフレに関する“3つのシナリオ”。気象データや農作物の生育、価格などをAIに学習させて、4人家族への月平均の影響をシミュレーションしたものです。
■価格安定シナリオ 気温高め/天候は比較的安定/農作物の生育順調 食費 0円~ー1000円 電気・ガス +500円~1500円
■価格標準シナリオ 全国な猛暑/野菜価格は全体では高止まり 食費 +3000円~5000円 電気・ガス +2000円~4000円 →8、9、10月支出「最大+2万7000円」
■価格高騰シナリオ 記録的な猛暑/野菜・コメが全国的に不作/価格高騰 食費 +8000円~1万5000円 電気・ガス +5000円~1万円 →8、9、10月支出「最大+7万5000円」
7月時点では55%程度の確率で「価格標準シナリオ」になるという予想でしたが、最大支出が7万5000円上がる「価格高騰シナリオ」が濃厚になってきています。
柏村主席研究員の発表時点から酷暑が継続的に進み、シナリオ発表当時は「価格高騰シナリオ」は発生確率30%でしたが、1か月半程度経ち、その確率は上がっていて「価格高騰シナリオ」になることが濃厚だと分析しています。
前田智宏気象予報士は8月になって40℃を超える気温も日も多くなっていて、記録的な猛暑は避けれない状況になっているとしています。
柏村主席研究員によると、物価変動が暮らしに与える影響は支出が増えるだけではありません。
家計への負担が増えると、高い米ではなく安い米を買うなど、購買行動が変わると指摘しています。結果、購買行動が変化すれば食生活の変化にも繋がり健康にも直結することになります。
生活を続けていくうえで私たちができることは以下のようなことだと柏村主席研究員は話します。
■給付金・補助金など支援策を能動的に収集 ■価格が安定している食材を活用 ■エアコンの適切な温度設定 ■スーパーなど閉店間際に行きやすい物を買ったり特売日を狙って買う
今後も猛暑によって物価に影響をもたらす可能性が高いため情報収集する必要がありそうです。
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