( 317888 ) 2025/08/21 05:49:59 0 00 東芝が本社を移転した川崎市内のビル=2024年6月、川崎市幸区
東芝や富士通など大手メーカー各社が、本社機能を都心から、工場や開発拠点など「ゆかりの地」へ回帰させている。
リモートワークの普及で一等地にオフィスを構える必要性が薄れたことに加え、研究開発や製造の現場と経営企画部門の距離を縮め、連携を強化することも狙っている。
東芝は現在、約40年間入居していた東京・芝浦の高層ビルから川崎市内のビルに本社の引っ越し作業を進めている。役員室や経営企画部門は完了し、残る広報部門なども月内に移る予定だ。
芝浦は社名の由来となった地だが、川崎もかつて白熱電球の工場があったゆかりある地。現在も研究部門などが集積しており、本社機能が一緒になることで、「社内組織が縦割りで連携が取れていない現状の打破を目指す」(同社)という。
川崎市には富士通も本社を構える。昨年、東京・汐留にあった本社機能や点在していた研究開発部門を、創業の地である川崎に集約した。創立当初からの主要拠点だった川崎工場は「テクノロジーパーク」に改称。最先端技術の実証実験が可能な施設へと再開発を進める。
ニコンは昨年、約100年前に拠点を設けた東京・西大井の閑静な住宅街に自社ビルを新築し、品川駅前の大型オフィスビルから引っ越した。近隣の小学生を招いて顕微鏡を使った観察会を開くなど、地域との交流を深めている。広報担当者は「ニコンが戻ってきたと受け入れてもらえているようで、うれしい限りだ」と話す。
一方、シャープは、2016年に大阪市から堺市に移した本社を26年に再び大阪市内に戻す。経営危機を受けて堺市の工場内に引っ越したが、利便性が高い大阪の中心部に移すことで、優秀な人材の採用や取引先との接点拡大につなげたい考えだ。
|
![]() |