( 318031 )  2025/08/22 03:30:04  
00

大本山永平寺は1244年に道元禅師によって開かれた曹洞宗の大本山で、厳しい修行で知られています。

しかし、今年6月から7月にかけて、愛知県の高校の女子生徒20名以上が修行僧から性加害を受けるという事件が発生しました。

修行僧Aは、女子生徒に対して座禅の指導中や布団を運ぶ際に性的な接触を持ったとされています。

事件は永平寺の関係者によっても確認され、対応が取られました。

永平寺は謝罪を行い、今後の対応について学校と話し合っています。

厳しい修行を受けた僧侶であっても、心の欲に負けてしまうことがあることが示されています。

(要約)

( 318033 )  2025/08/22 03:30:04  
00

大本山永平寺 

 

1244年、曹洞宗の宗祖である道元禅師によって福井県永平寺町に開かれた大本山永平寺。曹洞宗の場合、永平寺と神奈川県にある總持寺(ソウジジ)の2つの大本山があり、なかでも永平寺は「日本一厳しい修行」で知られている。その永平寺の修行を体験できる合宿研修に訪れた愛知県内の高校の20名以上の女子生徒が、修行僧の男性から性加害を受けるという前代未聞の事件が起きていたことが集英社オンラインの取材でわかった。  

 

福井県永平寺町の山あいにたたずむ永平寺はその荘厳さで見る者を圧倒する。自然に囲まれたその寺は観光スポットや紅葉の名所としても知られ、門前には多くの土産物店や蕎麦などの飲食店が立ち並ぶ。 

 

土産物店の女性店員が語る。 

 

「永平寺には全国から修行をするために僧侶が集まってきます。曹洞宗の中枢で修行僧を育てるための修行寺なんですよ。そして修行を終えたらまた日本中の寺に散らばっていきます。 

 

今は100人以上の修行僧がいると思いますが、多いときは200人以上が永平寺で修行していますよ。永平寺を舞台にした映画もありますし、Appleの創業者スティーブ・ジョブズも憧れを抱き、修行を望んだ有名なお寺なんです」 

 

「日本一修行が厳しい寺」としても有名な永平寺。曹洞宗関係者が解説する。 

 

「大本山永平寺で修行をすればお坊さんにとってはいわゆる“箔”がつきます。本家で修行したほうが一目置かれるわけです。 

 

朝3時半に起床してから座禅、掃除、作務、法要の準備など様々なことを行います。スマホはおろか寺には着るもの以外は持ち込めないので基本的に娯楽はありません」 

 

そんな700年以上の歴史を誇る永平寺で“性加害事件”が起こったのは今年の6月から7月にかけてのことだった。被害にあった女子生徒が通っている学校関係者が証言する。 

 

「私たちの高校では宗教情操教育の一環として永平寺で座禅をしたり、精進料理などを食べたり、実際の修行を体験する合宿研修があります。 

 

合宿に参加する人数が多いため、班ごとに分かれて合宿を行うのですが、合宿が終わり帰宅した複数の生徒が『お寺の人に体を触られた』と教師や保護者に訴え出て事件が発覚しました。 

 

合宿に参加したすべての班に聞き取り調査を行うと、20名以上の生徒が被害を申し出ました」 

 

“事件”を起こしたのは20代半ばの修行僧Aだった。学校関係者が続ける。 

 

「被害にあった生徒によると、座禅指導を受けている際に体調不良になり休ませてもらっていると、Aが背中をさすってきたそうです。 

 

ですが背中をさすっていた手がだんだんと下のほうに移動していると思ったら臀部を触られたとのことです。他の被害にあった生徒は合宿中に夜寝るための布団を運んでいる最中と、布団を片づける際に臀部を触られたと聞いております」 

 

 

女子高生を恐怖に陥れた修行僧Aとはいったいどんな人物なのか。 

 

Aの実家は茨城県にあり、父親も住職を務めている。Aは永平寺には令和4年の春に上山し修行は“4年目”だったが、事件を起こしたのちに下山させられている。 

 

事の真相を聞くため実家を訪ねてみると、父親が玄関口で声を荒らげた。 

 

――息子さんが永平寺で事件を起こしたことは聞いてらっしゃいますか? 

 

「いきなりなんなんだ。知らないよ。誰からそんなこと聞いたんだ! 突然来るなんて失礼だろう!」 

 

――息子さんは永平寺から下山していると思いますが、実家にはおられませんか? 

 

「いったい誰からそんなこと聞いたんだ!」 

 

――では今、永平寺にいるのですか? 

 

「知らん」 

 

――何の連絡も来ていないんですか? 息子さん携帯電話は持ってないのですか? 

 

「携帯電話なんて持っているわけないだろう。いったい誰から聞いたんだ。言えないのか。ならいいっ」 

 

そう言うと父親は力強くドアを閉めてしまった。永平寺に事件の経緯と事実確認を行うと、文書で回答がきた。回答の一部を抜粋してお伝えする。 

 

≪お尋ねの不祥事が永平寺での宿泊参禅研修中に惹起致しました事は、真に恥ずかしく申し訳ないことでありますが事実であります。研修中に衣服の上から臀部を触るという性加害事件が発生致しました。 

 

(中略)不祥事発覚後、永平寺では直ちに事実関係の調査を行い、関係規定に遵い関係者に対して相応の処分を行うと共に、当該校に永平寺の責任ある立場の役員が謝罪に上がりました。 

 

其の後、被害を受けた方とその保護者の方々に対し、本山重席の役員が直接謝罪と説明を行い、学校側に対しましては今後も真摯で丁寧な対応をさせて頂くことをお伝え致しました≫ 

 

また、女子生徒たちが通う高校にも被害届提出の有無や学校としての今後の対応について聞いたが担当者不在のため回答は得られなかった。 

 

 曹洞宗の座禅においては様々な思惑や欲にとらわれないことが肝心だと説かれている。3年以上、厳しい修行を積んできた修行僧でも欲にとらわれてしまった。傷ついた少女たちの心が一日でも早く救われることを願わずにはいられない。 

 

※「集英社オンライン」では、今回の記事についてのご意見、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 

 

メールアドレス: 

shueisha.online.news@gmail.com 

 

X(旧Twitter) 

@shuon_news   

 

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班                    

 

集英社オンライン編集部ニュース班 

 

 

 
 

IMAGE