( 318178 ) 2025/08/22 06:16:49 0 00 FNNプライムオンライン
石川県内に衝撃が走った。ANA、全日空は19日、今年10月26日からの冬ダイヤを発表。全国で唯一、羽田便が減便され一日2往復となった。これは能登羽田便と同じ便数であり、馳知事は「大変残念」とコメントを発表。県は今月も便数維持を強く要望したというが、北陸新幹線の敦賀開業前から常々指摘されていた小松空港の利用客低下が原因のひとつだけに、残念でならないとの声があがっている。
19日にANAが発表したのは10月26日から来年3月28日までの冬ダイヤ。
石川の小松空港と東京の羽田空港を結ぶ便は、これまでの1日4往復から1日2往復に半減した。変更後のダイヤは以下の通りだ。
・小松 午前7時35分発→羽田 午前8時45分着 ・小松 午後5時発→羽田 午後6時15分着 ・羽田 午前9時45分発→小松 午前10時50分着 ・羽田 午後8時35分発→小松 午後9時40分着
一方、減便されるのは以下の便となる。
・小松 午前10時40分発→羽田 午前11時50分着 ・小松 午後6時35分発→羽田 午後7時50分着 ・羽田 午前8時55分発→小松 午前9時55分着 ・羽田 午後4時50分発→小松 午後5時55分着
なお、小松札幌便はこれまで同様、1日1往復。小松福岡便は、これまでの1日4往復から5往復に増便された。また、能登空港の能登羽田便もこれまで通り1日2往復を維持した。
かつてはドル箱路線だった小松羽田便。小松空港の国内線は2002年には約259万人の利用者がいたが、東京と金沢を2時間半でつなぐ北陸新幹線が2015年、金沢まで開業した後は利用客が減少。ANAも開業直後は1日6往復を維持していたが、開業1年後の2016年3月からは1日4往復に減便していた。
それでも新幹線が金沢止まりだった事もあり、福井県からの利用客を取り込み、コロナ禍でも運休はあったものの便数を維持していた。
しかし2024年3月、その福井まで北陸新幹線がつながると、利用客はさらに低迷。ANAによると2014年度には約88万人が利用していた羽田便だったが、2024年度は年間約36万人まで落ち込んだという。2016年度からは営業赤字となったかつてのドル箱路線。そこにコロナ禍以降、高単価のビジネス需要が回復しない事に加え、整備費・人件費の費用が増加。赤字が急拡大しているのだという。
敦賀開業によって、小松空港に影響が出るというのは、2015年の金沢開業より以前から、かねて専門家だけではなく県の関係者からも指摘されていたものだ。このため石川県や福井県は、小松空港サポーターズクラブやビジネス利用キャンペーンなどを展開し、特にビジネス客の新幹線流出を食い止めようと必死だった。また福井からのアクセス向上に北陸自動車道で小松空港に最も近い安宅にスマートインターを設けるなど、小松空港の利便性アップに努めてきた。
県では、2015年の金沢開業によって競合する小松空港に多大な影響を与える可能性があるとして、利用客にアンケートをとるなどして、客の声に耳を傾け、影響を最小限に食い止めようとさまざまな施策を展開。そのアンケートはコロナ禍となる前、2018年を最後に行えていないという。なおその時、福井県内の利用客は、北陸3県の利用客の4分の1ほどをしめていたという。
このANAの減便について馳知事は次のようにコメントを発表した。
馳知事: 本日発表された2025年冬ダイヤでは、小松羽田便について、日本航空は現在の1日6往復が維持される一方、全日空については現在の1日4往復から1日2往復に減便されることとなった。 県としては、便数維持に向け、これまで官民挙げて様々な利用促進策に取り組んできたほか、今月4日には、私自身先頭に立って、議連や経済界など空港関係者とともに航空会社に赴き、小松空港の航空ネットワークの維持は、能登はもとより、南加賀など県内全域への誘客ひいては石川県の復興に必要不可欠であると、便数維持を強く要望したところである。 両者ともコロナ禍を契機としたビジネス需要の縮小、世界的な物価高や円安の影響による整備費や燃油費等のコスト増加といった全国的な国内線の厳しい状況に加え、新幹線競合路線であるがゆえの販売単価の引き下げによる小松羽田便の路線収支の悪化が続いているとのこと。 こうした中で全日空の小松羽田便が減便となったことは大変残念である。 一方、全日空が運航する小松福岡便については、現在の1日4往復から5往復へ増便となり、日本海側の拠点空港そして北陸の玄関口としての小松空港の機能の拡充が一定程度図られたものと認識している。 県としては、今後も小松空港の航空ネットワークの維持・活性化を図るため、航空会社や福井県とも連携し、一層の利用促進策や小松空港の活性化に向けた方策を講じてまいりたい。
折しも今月8日から17日までのお盆期間に小松羽田便を利用した人は、前の年より16%多い、1万2897人と増加。搭乗率も93.2%と前の年より3.2ポイントアップしていた。
小松羽田便は、これまで新幹線と競合している他の路線と比べれば便数も多く、首都圏へ往来にとどまらず、羽田での乗継の利便性を生かす上でも優位性を保ってた。増え続ける訪日外国人客を取り込むためには、こうした乗り継ぎという視点も重要だ。それだけに今回の減便が与える影響は、観光産業にも大きな影を落とすことになりそうだ。
(石川テレビ)
石川テレビ
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