( 318208 ) 2025/08/22 06:49:18 0 00 年金生活者を襲う猛暑インフレ 毎月3万円の赤字に「やっていけない」 節約で防衛
お盆休みだった15日は2カ月に1度の年金の支給日でした。この夏は、記録的な暑さによる生育不良で、野菜やコメなどが値上がりする猛暑インフレが年金受給者の大きな負担となっています。
お盆真っただ中の15日。銀行のATMには、年金支給日ということもあって多くの人が並んでいます。
この日、都内の最高気温は36.1℃。猛暑の中、受給者たちが声をそろえるのが、足りない年金。
年金1カ月約6万円 年金受給者(75) 「年金では生活できない。年金だけでは」 年金1カ月6万円 年金受給者(82) 「大変どころじゃないですよ」 年金1カ月約10万円 年金受給者(78) 「貯金どころじゃなく、いや貯金はあったけど、(切り崩して)ほとんど使い切っている」
そこに追い打ちをかけるのが、猛暑インフレです。
年金1カ月6万円(妻別に支給) 年金受給者(82) 「生半可なクーラーはかけない。うんと暑い時だけクーラーかけて、水を多く補給する」 年金1カ月20万円(夫婦合算) 年金受給者(76) 「だいぶ前から(節水で風呂は)シャワーに変えちゃいましたね」
光熱費を節約するという声が。さらに、食費を節約しています。
年金1カ月約10万円 年金受給者(82) 「スーパーでもね、安い所あるから(色々回って)。足りない物をこっちで買うとかしているんです」 年金1カ月15万円(就業中) 年金受給者(70代) 「コメなんか去年と比べたら倍以上でしょ。どっちみち、もうこのところずっとそば(食べてる)」
そんななか、さまざまなアイデアでこの状況を乗り切ろうとする人もいます。
こちらの男性は“猛暑インフレ”の影響で家計にかかる負担を減らそうと、35℃を超える猛暑にもかかわらず、外からの風と足元にある扇風機でしのぎ電気代を節約していました。
年金1カ月7万円 年金受給者(81) 「(Q.暑くないですか?)クーラー使ってないから」 「(Q.(部屋の)温度何℃くらいある?)32℃」
部屋の温度を見ると外と変わらないほどの暑さ。男性の額にも汗が…。さらに。
「熱中症のあれ書いてるけどね」 「(Q.これ何ですか?部屋の温度?)うん」
熱中症にならないように、毎日部屋の温度をカレンダーに記録しているといいます。よく見ると、30℃超えの日がほとんど。脱水症状にならないようある対策をしています。
「塩水飲んでる。だから(これまで)脱水症状を起こしてないわけ」
電気代節約の一方、家計を襲うもう一つの負担が…。
「最近は物価高だからどうにもならない」
連日の猛暑の影響で野菜や肉など食料品が高騰。
「(年金受給日に)買い物一括で買って、それっきりもう行かないから」
冷凍庫の中を見てみると…。
「(Q.すごく入ってますね)なるべく冷凍物を買って…」
他にもカットした大量の野菜や冷凍食品などを買いだめし、保存しているといいます。
そんな男性が作る晩御飯は…。
「おでんにしようかなと…」
夕方になっても部屋の温度は32℃。暑い中でおでんを作る作業がスタート。鍋には味噌、ダイコン、手羽元、厚揚げなど次々と大量の食材を入れていきます。
真夏に作る“味噌おでん”。これも節約の一つだといいます。
「余ったら少し冷まして冷凍しておくから」 「(Q.こういうので食費を浮かせたり?)うん」
具材を煮込むこと1時間、ようやく完成。
「最高だね」
暑い部屋で扇風機2台を使い、食べるおでん。
「暑い時に熱いのを(食べて)」
独自の節約をして食費を切り詰めていますが、暮らしていくのもやっとだと話します。
「(今は)なんとかやっていけるよね…」 「(Q.もうギリギリですよね?)うん。無理しないように過ごせればと思ってる」
一方、年金支給日にちょっとしたぜいたくをするという人もいます。
年金1カ月5万円 年金受給者(80代) 「(銀行の)帰りにケーキ屋さんに寄って、ケーキかアイスクリーム(を買いたい)」
女性の年金支給額は月5万円。銀行でお金を下ろした後、自宅に帰る途中にある洋菓子店に向かいます。
「買ってきました」 「(Q.たくさん買いましたね)だいたい1000円(分)くらい買いました。(食べるのが)結構楽しみなんです」
あまりの暑さに、ケーキではなくアイスを購入。節約のため、保冷袋と保冷材は自宅から持参したといいます。アイスと一緒に買ったお菓子。これは…。
「実家のお仏壇に、お線香あげて(供える)」
17年前に夫を亡くし、現在は一人暮らし。持ち家に住んでいますが、月5万円では生活は苦しいといいます。
買ったアイスを見せてもらうと、袋詰めのアイス3パック。
「だいたい6個入りですから、3パック×6個=18。18日間1個ずつ食べます」
暑いなか帰宅し、お気に入りのアイスを食べて一服。
そんな女性が節約のため、切り詰めているのが“食費”です。
「お昼ご飯はきょうは納豆ご飯にお味噌汁って感じで」
さらに、味噌汁はこんにゃくを入れてかさ増し。厳しい生活を乗り切るため、こんな工夫もしています。
「お肉の安いのをいっぱい買って、1食ずつ小分けにして。お肉だったら、だいたい80グラムぐらいずつにして」 「(Q.ご飯のグラムもしっかり管理している?)そうですね。(1食)80グラム」
細かく量を管理して無駄を減らしているといいます。それでも、猛暑インフレは家計を圧迫しています。
「きょう下ろしてきたのは、10月分として使う予定だった現金を今下ろしてきちゃった。だから2カ月、3カ月、さかのぼって赤字なんですよね」
これまで1カ月を賄えていた金額では足りなくなり、節約をしてもここ3カ月は赤字が続いています。
一方、こちらの女性も猛暑インフレの影響で…。
年金1カ月7万5000円 年金受給者(72) 「(スーパー)入るまで食べたかったものはある。だけどそのそば(売り場)に行ったら、値段がもう100円でも高いと、20〜30円高いと買わない」
一人暮らしだという女性の年金は、ひと月7万5000円。そのうち3万8000円が家賃で引かれ、残りが生活費だといいます。
年金支給日まであと2日と迫ったこの日、すでにお金は…。
「お金はほとんどないですよね」
それでも、向かったのは最寄りのパチンコ店。2000円を手に店内へ。1時間後、店から出てきた女性は…。
「(Q.どうでした?)(お金)ない」 「(Q.もうない。この後どうします?)この後、お家帰って…パチンコのお勉強」
この日は外食をしたかったという女性ですが、自宅へ帰ることにしました。
「(年金支給日の)10日ぐらい前になるとお金がなくなってくるわけ。なるべく自分の家でご飯食べて、パンでも何でもいいので食べて」
生活費以外に使えるのはわずかなお金。そんな女性には、こんな夢があります。
「旅行。旅行ちょっと行きたいなって。このところずっと2〜3年行っていないから。そういう夢がある」
東京・練馬区にあるこちらの“マンモス団地”。約1万2000世帯、人口およそ2万6000人以上の住人が暮らしています。
光が丘ボランティアの会 小山謙一会長(83) 「東京で一番高齢化率が高いんじゃないかな。今の高齢者の実態を一番よく表している街だね」
そう話すのは、光が丘ボランティアの会の会長を務める小山謙一さんです。猛暑インフレが襲う、年金生活者のお宅の見回り活動を行っています。
小山会長 「こんにちは〜小山です。お!生きてるね〜。お邪魔します」
訪れたのは、単身で住む95歳の男性宅です。
年金1カ月20万円 年金受給者(95) 「毎年ね、何か壊れるんですよ。洗濯機壊れたりとか、冷蔵庫壊れたりとか、クーラー壊れた」
エアコンなど猛暑に欠かせない家電も壊れ、修理代がかさみ、年金生活を圧迫しています。さらに…。
小山会長 「真っ黒!これじゃあもうね、電気代を無駄に使っているようなもの。今やっちゃうからね」
表面にびっしりと張り付いたほこりが落ちたことで、裏が透けて見えるほどに。
小山会長 「きれいになっちゃった、良かった良かった」 年金受給者 「小山さんにやってもらって、申し訳ないよ」
フィルターを掃除することで冷房の効率が上がり、光熱費の節約につながるといいます。
続いて向かった先は、数年前に病気で夫を亡くし、現在は1人で暮らす84歳の女性宅です。
小山会長 「こんにちは〜生きてるか?」 年金1カ月3万円 年金受給者(84) 「はい、なんとか生きてるよ」 小山会長 「良かった良かった」
1カ月およそ3万円の年金で生活しているこちらの女性。長年にわたる夫の介護で体を壊し、今は腎不全を患っています。
小山会長 「さて、ごはんは?」 年金受給者 「ごはん半分食べた」 小山会長 「おかず全部食べたなんて珍しいわ、良かった〜」
食事が自分で作れず、塩分制限も必要なため、減塩食の弁当を配送してもらっているといいますが…。
小山会長 「1回700円だから、1日2100円で、(1カ月)30日あるから6万円。だから食事代だけで6万円」
物価高の影響で弁当代が値上がりし、苦しい年金生活に追い打ちをかけます。
1カ月3万円の年金では到底まかないきれず、貯金を切り崩してきたといいますが、来月、生活保護を申請する予定だといいます。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月21日放送分より)
テレビ朝日
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