( 318453 )  2025/08/23 06:22:36  
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細野豪志氏(川口良介撮影) 

 

北海道の釧路湿原国立公園周辺で大規模な太陽光発電所(メガソーラー)の建設が進む現状に、自然環境や動植物の生態への影響を危ぶむ声がSNSなどで上がっている。自民党の細野豪志元環境相は21日、音声メディア「Voicy(ボイシー)」を通じ、そうした現状にどう向き合うべきか、その処方箋について自身の見解を発信した。 

 

「私有地の利用制限難しい」 

 

まず、釧路湿原について「タンチョウが飛び、自然が豊か。観光の名所で、貴重な野鳥の楽園だ」と評価した。 

 

「だが、平地で、北海道でも日照時間が長く、発電をすればコストも安いこともあり、国立公園の周辺も含めソーラーパネルがあちらこちらに設置されている」と指摘し、こう語った。 

 

「開発をなんとか止めたいが、日本の場合は私有地の利用を一律に制限するのが難しい」 

 

そこで、解決策の1つとしてかつて地元の静岡県の山あいで進められたメガソーラー開発に対し、「県や国などに強く働きかけながら何とか止めるのに5年かかった」といった自身の経験を振り返ったうえで、「自治体がしっかりやるべきだ」と訴えた。 

 

具体策として「開発手続きに瑕疵がなかったのか徹底的に検証し、仮に瑕疵があれば、厳密な運用を強く求めて、その開発の是非をもう一度しっかりと検証できるような枠組みを作ることしかないだろう」と強調した。 

 

大量のパネル、産業廃棄物に 

 

また、メガソーラーはひとたび設置されると、時間がたてば大量のパネルが廃棄されることにも触れ、「廃棄パネルが産業廃棄物として埋め立てられている現実がある。この改善のため、国が新法を作ろうとしたが、実現していない」と語った。 

 

たしかに、メガソーラーには災害時、地域内で発電することで日ごろの暮らしを維持するのに寄与するといったメリットもある。細野氏も「私自身、ソーラーパネルについて必ずしも否定的に考えているわけではない」と述べた。 

 

それでも、「メガソーラー設置開発が進むと、景観も激変する。湿原という貴重な場所が侵食されるといった問題も出てくる」「やはり(いずれは)大量の廃棄物が出て、有害物質も含まれているわけだから、きちんと管理され、リサイクルされてはじめて本当の意味でソーラーパネルが環境と整合性のある形にしていくということが極めて重要だと思っている」と語った。 

 

また、「静岡での場合は開発前だから止められた。釧路湿原周辺の場合は、止めることが正直、なかなか難しくなってきているが、まだ手はあるかもしれない。地元の自治体や財界などと阻止したい。地元の国会議員らとも連携し、やれることが何かを探りたい」と結んだ。 

 

細野氏は、民主党政権の野田佳彦内閣で環境相を務めた。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発の事故後、処理水問題などに対応した。 

 

 

 
 

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